「きのうを探して欲しいんです」
美しくどこかはかなげな依頼人。
謎めいた依頼……
昨日から昨日が見つからないと言う。
そんな彼女が見せたのは小猫の写真。
「きのう」って猫のことだったの?
だが、翔太郎は「これはただの猫ではなく、猫の形をした大切な思い出だ」と訳知り顔で解釈。ふだん嫌がるペット探しを快諾する。
一方、竜は不可解な事件を追っていた。
不動産会社の社員たちが謎の行動をとり、事故にあっているのだ。
事件の謎を解くキーワードは……「昨日」
イキな台詞に、絶妙なアイデア
中島かずき脚本で贈る一篇は
切なく洒落たハードボイルド
中島さんと言えば劇作家。
劇団☆新感線の座付き作家で、現在30周年興行『薔薇とサムライ』が大評判です。
また、同期間にもうひとつの新作舞台『戯伝写楽』も公演しているというご活躍ぶり。
アニメの世界でも、傑作『天元突破グレンラガン』の脚本・シリーズ構成、
『のだめカンタービレ』のシリーズ構成等々、精力的にご活躍です。
まあ、僕にとっては、おやっさん的に“憧れの存在”であります。
そんな超多忙な中島さんに前々から打診してスケジュールを調整してもらい、『ダブル』を一本書いてもらいました。
美女の謎めいた依頼。
彼女に惹かれる翔太郎。
竜が追う、風都で起きている怪事件。
物語は、風都ホールで開かれる園咲冴子・講演会へ。
どうです、この感じ?
ワクワクでありましょう。
ネタバレ部分は言えませんが、アッと驚く仕掛けがあったりします。
そして、中島さんのアイデアを、画にした石田監督の演出力がまた凄かった。
脚本の打ち合わせでは、
「コレ、すごく面白いけど、撮るのは大変だぞ」
というのが、まずプロデューサーとしての正直なところでした。
石田監督もやはり「大変だぞムムム」という表情をしていましたが、
「これはいけますか?」という僕の問いに、
「ま、なんとかなるでしょう」とニヤリ。
クールでありました。
かくして監督は、最近グッと大人っぽくなった平田薫ちゃんをヒロインに迎え、
中島さんの脚本にさらに石田テイストをこんもり盛って、傑作を撮ってくださいました。
一つ一つのエピソードが、優れた映画のような一本でありますようにと、意識している『ダブル』ですが、今作『Yの悲劇』もそんな『ダブル』を象徴する一本になりました。
そんなわけで、ゴールデンウィークの朝はお家で『ダブル』!
昼はお外で、エクストリームメモリとプリズムビッカーの玩具でCJXになりきって遊びましょう!
マキシマムドライブマキシマムドライブマキシマムドライブマキシマムドライブ!
これで決まりだ。
脚本:中島かずき 監督:石田秀範