科捜研の女 season19
- 2019年4月18日~2020年3月19日放送
放送は終了しました。ご視聴ありがとうございました。
歴代4人の夫はすべて大金持ち、しかも次々と不審死し、
遺産を手中に収めてきた過去を持つ女・森聡美(演・鶴田真由)。
以前、決定的な証拠がなく、マリコ(演・沢口靖子)と土門刑事(演・内藤剛志)が
苦々しくその背中を見送った疑惑の女性が、
再び捜査線上に浮上した!
今回の被害者は、アメリカで「テリヤキングソース」をヒットさせ、
一代で財を成した老人・本多嘉壱(演・福本清三)。
ニューヨークの自宅で急死し、現地警察が捜査したものの、病死として処理された。
しかし、約半月後、嘉壱の娘で、
「テリヤキング」日本法人専務の本多鏡子(演・美鈴響子)の撲殺体が京都市内で発見された。
嘉壱の遺産の大半が、遺言により婚約者の聡美に遺贈され、
同時に、遺言の執行人である鏡子の兄・本多幸一(演・大場泰正)も、
遺留分より多い遺産を相続するとされていたことから、
二人と鏡子ら他のきょうだいが争っていたことが明らかになる。
京都府警が、殺害への聡美の関与を疑い捜査と鑑定を始めた矢先、
府警本部の玄関に、「不謹慎なほど艶やかな喪服姿」の「死神みたい」な女性(※どちらも脚本より)が現れた――!
聡美は自らの捜査官に土門刑事を指名し、
取調室に「あのブス」(※第6話「愛される悪魔」でマリコのことをそう呼んでいました)を呼びつける。
果たして、自ら府警本部に出頭した最重要参考人・森聡美の企みとは?
そして、ニューヨークから現地警察の捜査官・朝比奈江真(演・清水ミチコ)も緊急来日し、
マリコ&土門刑事VS.「令和の毒婦」のバトルが遂に決着を迎える!?
脚本 櫻井武晴
監督 森本浩史
ゲスト
鶴田真由
不破万作
大場泰正
井之上チャル
美鈴響子
牛丸裕司
福本清三
清水ミチコ
ほか
(文責・東映プロデューサー 谷中寿成)
みどころ
1年間の放送も終盤に差し掛かったいま、振り返ると、忘れられない女たちがいます。
「科警研の女」(演・檀れい)、「カウンセラー由美子先生」(演・堀内敬子)、
「玉城詩津香班長」(演・浅野ゆう子)「土門の妻・有雨子」(演・早霧せいな)
「葬儀社の女」(演・中島ひろ子)、「ぬか漬けの女神」(演・森口瑤子)、「節約の達人」(演・松岡依都美)……
そんな中でも一段と毒々しさを放っていたのが、
マリコをブスと呼ぶ女、「令和の毒婦」森聡美(演・鶴田真由)ではないでしょうか。
その森聡美がなんと、再びマリコたちの前に戻ってきます。
それも、パワーアップして!
これまで何人もの男性を殺害してきたとされる森聡美ですが、
今度のターゲットはなんと、ニューヨークの大富豪。
さらに日本でも殺人事件が起きて――
春の撮影以来、京都撮影所に戻ってきてくださった鶴田真由さん。
本当に楽しそうにお芝居をされていたのが印象的で、
現場ではなんだか「ファミリー感」すら感じてしまいました。
脚本・櫻井さんのキレッキレなせりふを、
鶴田さんが生き生きと演じ、聡美は今日もやりたい放題。
いっぽう、受けて立つ今夜のマリコは、いつもとちょっと違います。
沢口さんのお芝居にはなんだか「凄味」があり、
土門刑事も今夜はちょっと意地悪で、
ひたすら会話の応酬が続く長い取調室のシーンでは、
お互いの熱とテンションが呼応しあう、「グルーブ感」のようなものが生まれていました。
間断なく差し挟まれるユーモアに笑っているつもりが、
芝居の熱量に圧倒され、次第にあぶりだされる人間のおかしさに、また笑うしかない。
1年の放送も終盤に差し掛かり、ちょっと初めて観る感じの取調室シーンでした。
今夜の科捜研の女、熱いです。
忘れられない夜になりますように。
(文責・東映プロデューサー 中尾亜由子)
【マリコの衝撃的ワンカット】
深夜の法医研究室で……
科捜研おなじみの「達人シリーズ」的にいうと、
後妻業の聡美は「男女関係の達人」なのかもしれません
(持てる人心掌握能力を完全に「悪」の方向で使っているのが他の達人と違いますが……)。
聡美という強烈な「悪の光源」を前にして、
あくまで科学鑑定のことを第一に考えているはずのマリコ、
犯人逮捕を第一に考えているはずの土門刑事の二人の関係にも、
いつもと違う照明が当たっているように見えてしまいます。
今回、土門刑事が深夜の法医研究室を訪れ、
マリコだけにあることを打ち明けるシーンがあります。
それに対するマリコのリアクション、
そしていつもとちょっと違うテンションになる二人。
ファンの皆様の記憶に残る名シーンになること請け合いです!
決してお見逃しなく!
(文責・東映プロデューサー 谷中寿成)
第32話 こぼれ話
※ネタバレに当たる内容を含んでおります。ご視聴後にお読みください。
科捜研の女season19 第32話、いかがでしたでしょうか。
鏡を見ないと自分ではわからないメイクやヘアアレンジと違い、ネイルは仕事や家事など普段の生活の中で、自分の目で見て楽しめるのですね!そんな指先のおしゃれがヒントとなり、愛憎渦巻く女たちの駆け引きをマリコら科捜研が鮮やかに解き明かす回となりました!
今回のキーアイテム:ネイル――何と言っても活躍したのはメイクスタッフの皆さんです!
ネイルをするゲストの役者さんは6名、その中にはネイル替えのある方もいますので制作するのは20種類近くにも及ぶネイルとなります!
ネイルサロンに通われている方はもちろんご存知かと思いますが、デザインによっては施術に数時間掛かることもあり、また発色やツヤの良いジェルネイルは持ちの良さもあるためリムーブするのにも手間と時間が掛かってしまい、オンとオフを繰り返すと自爪を傷めてしまうこともあるそうです。。。
そこで、撮影を効率よく進めるため、メイク部と演出部が編み出した作戦は「ジェルネイル風ネイルチップ」の製造、すなわち役者さんごとに着用する「つけ爪」を作ってしまおう、というものです!この作戦であれば、撮影シーン替わりのタイミングでネイル替えが発生してもアクセサリーを付け替える感覚ですぐにネイルをチェンジできるわけです!
と言いましても、準備はそんなに簡単なことではありません(笑)それぞれの役者さんごとにデザインが異なるのはもちろん、爪のサイズもそれぞれ異なるため、一人一人、一指一指、精確にサイズを計っていかなければならないのです。ロケ地としてお借りしたネイルサロンの方にデザインを発注して制作してもらう期間を逆算し、なるべく早くサイズチェックとフィッティングをせねばならなかったためメイクスタッフさんと共に作業の手伝いをしたのですが、これはなかなか根気のいる作業でした(笑)
そんな苦労も相まって、私目線ではとっても綺麗な“ジェルネイル”に仕上がっていたのではないかと思いますが、いかがでしたでしょうか?
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ネイルサロン「ラ・シャヴァンヌ」のネイリスト・篠宮佐和を演じてくださったのは、佐藤江梨子さんです!お子さんがいらっしゃることもあり普段ネイルはしていないそうですが、今回のネイリスト・佐和には自分と通じる部分を感じていたそうです。というのも佐和のネイルサロン「ラ・シャヴァンヌ」はおしゃれが好きなシニア女子を応援する60歳以上の方への割引を実施しているため高齢のご婦人も多く訪れるお店なのですが、佐藤さん自身も「おばちゃんによく好かれる」のだそうです(笑)佐藤さんの温かな人柄は老若男女問わず人を惹き付けるものがありますが、言われてみるとたしかに、ご高齢の女性から特に好かれそうな雰囲気を持ち合わせていますね!
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そんな佐和のことを好いてサロンに通う常連客の一人が、クリーニング店を営む三枝佳乃です。演じてくださったのは、藤田弓子さん!シーズン10以来のご出演です!
秘密を抱える登場人物が多く登場した今回、佳乃もまた知られたくない事実を隠している女性の一人でした。長い間こどもに恵まれず養子として沙織(演・島居香奈)をもらった三枝夫妻、夫に先立たれ精気を失ってしまった佳乃の支えは娘の沙織であり、孫の真央(演・木村湖音)でした。シニア割引を小さな理由にしながら、気さくで優しい佐和に悩みや相談事を聞いてもらえるネイルサロンはいつしか佳乃にとってなくてはならない場所となっており、佐和もまた佳乃の荒れた手を自分の母の手に重ねて接するうち、守りたい存在として佳乃を思うようになり事件の証拠隠滅に加担したのでした。。
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今回の被害者で、人懐っこい笑顔の裏にもうひとつ、秘密の顔を持つ保険外交員・朝吹樹里を演じてくださったのは佐藤乃莉さんです。佐和と同じ不良グループに属し、特攻服を纏い街を闊歩していた過去を持つ樹里は、今もその狡猾な精神で人々を惑わせていました。タウン誌で見つけたかつての不良仲間・佐和のもとを訪れ、彼女の関係者の弱みを次々と握っていく樹里のフットワークは軽快で、どぎつい悪女ながら、ところどころでなぜか愛らしくも見えるキャラクターでした。
協力関係にあった真木英子(演・広岡由里子)に刺されて命を落とした樹里の最期の言葉は完全には聞き取れませんでしたが「一緒にお店を開こう」と言っていたようでもありました。不当に得たお金で開く店が一体どんなものなのか、樹里の真意は定かではありませんが、もしかしたら独立開店した佐和のような凛とした姿に憧れを抱いていたのかもしれませんね。。。
それにしても、真木英子が樹里を刺し殺す瞬間から取調室での供述に至るまでのシークエンスは、森山さんの脚本を読んだ時点ですでにグッときていたのですが、広岡さんの迫真の芝居によってさらに胸を揺り動かされる一幕になったように感じます。佳乃に引き取られ育てられた沙織の実の母で前科二犯の真木英子、樹里を殺して部屋を出て行くときのその目、剥げかけの赤いネイルがくすんだ指先、取調室のマジックミラーに自分の姿を映し、果たして彼女はどんな思いを抱いていたのでしょうか。。。
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さて、呂太くんがいつの間にか用意していた家庭用ネイルプリンターによって、二次元コードなどの複雑な模様でも容易に爪に印刷できることがわかり、土門刑事ら捜査一課と連携して調べを進めていくと、被害者・樹里の爪に塗られていたマニキュアの乾燥時間について違和感が生じてきます。
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そこで登場したのが「乾燥工程評価装置」、対象物にレーザーを照射し粒子の動きを捉えることで乾燥状態を特定できるアイテムです!
樹里の部屋と同じ温度・湿度に設定した鑑定室で、樹里の爪に塗られていたのと同じマニキュアを塗った科捜研メンバーと蒲原刑事がサンプルとして“手を貸す”ことに!
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子が母を思い、母が子を思う、手を通して描かれる愛に満ち溢れた人間ドラマとなった今作でしたが、撮影前の準備期間に重なっていた年末年始休暇で実家へ帰った際、母の手をまじまじと見ていたら怪しまれてしまいました(笑)
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マリコも母・いずみを想っていたのでしょうか…
さて、次回は第33話。“あの女”が再登場します!マリコをブスと罵り、土門を飄々と往なし、あるテレビ誌の取材では沢口さんをして「20年で初めて“手錠をかけられなかった犯人”として非常に悔しい思いをした存在」と言わしめた、あの“悪魔”が再び我々の前に現れます!事件の始まりはなんとニューヨーク!?日本を飛び出し遠い異国の地で“モンスター”と化した後妻業の女に、科捜研の女は真っ直ぐ科学で立ち向かいます!!細部まで見落とせないキャラクター配置と最後まで見逃せないストーリー展開を心ゆくまでご堪能ください!!
(文責・東映プロデューサー補 山﨑 雅人)