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科捜研の女 15

DATA
春スペシャル2016年4月17日(日)よる9時放送
放送は終了いたしました。ありがとうございました。

EPISODE GUIDE

第7話 どっきり殺人レシピ
2015年12月3日放送

■あらすじ

 毒舌で知られる料理評論家(演・久世星佳)がテレビの生放送番組出演中に突然苦しみ始めて死亡した。
 
 テレビ局に彼女宛の脅迫状が届いていたことから毒殺された可能性が浮上する。しかしいったい誰が?
この番組のプロデューサー(演・近江谷太朗)や共演していた芸人(演・なだぎ武)の証言によると、どうやら彼女に恨みを持つ人間は多いらしい。
かつて彼女の酷評で店を潰されたシェフ(演・遠山俊也)もその一人であった。
 
 解剖の結果、被害者はイチイの実に含まれる毒<タキシン>を飲まされた可能性が高いことが分かる。
しかしタキシンにはゴーヤの約5倍もの苦味があるという。犯人はどうやってそんなに苦いものを飲ませることができたのか。
 
 マリコ(演・沢口靖子)と土門刑事(演・内藤剛志)は被害者の自宅へ話を聞きに行くが、被害者の息子(演・平岡拓真)は彼女の作るお弁当はいつも不味かったと証言する。
――料理評論家の弁当が不味い?
疑問を持ったマリコは、味覚を数値化することができる<味覚センサー>でそのお弁当を鑑定するが・・・。
 
 味に隠された事件の謎を、マリコが科学で解き明かしてゆく。

(文責・東映プロデューサー補 森田大児)


■みどころ

 皆さん、好きな料理はなんですか?
ステーキ、フォアグラ、天ぷら、お寿司…いや、妻の作る肉じゃがが一番だという方もいらっしゃるでしょう。
また同じ料理でも、そのときの空腹感やシチュエーションによって感じられる「おいしさ」はまるで違ってくるものです。
「久しぶりに母の手料理を食べるとほっとする」「仕事のあとはビールの味が格別」「商談で高級料亭に行ったが緊張で味がわからなかった」…似たような経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
味覚というのはとても曖昧で、きわめて人間的な感覚なのですね。
 
 その「味覚」に、科学という切り口で包丁を入れ、面白くわかりやすくなるまで充分に煮込み、ユーモアと涙のスパイスを利かせてお届けするのが今回の「科捜研の女」です。
 
この「包丁」にあたる最大のアイテムが、「味覚センサー」。
簡単に言えば「味覚を数値化する」装置です。人間の舌が味を感じる仕組みを再現したこの装置を使えば、「甘味」「塩味」「酸味」「うま味」「苦味」の各項目を数値で表すことができるのです。
当然これを「おいしい」と感じるか「まずい」と感じるかには個人差がはたらきますが、「○○よりうま味が多い」「××より苦い」などの評定は可能になるというわけです。
こうして被害者が飲んだ毒「タキシン」の苦味があの苦いゴーヤのなんと5倍もあることが示され、「いったいそんな苦い毒をどうやって飲ませたのか?」という謎が深まっていくこととなります。
 
 最高の料理の主役は最高の食材――ということで、この「味覚」という題材と一緒に煮込まれ、とびきりの味と食感を提供してくれたのは、素敵な役者陣でした。
 
 毒舌料理評論家・宇田川綾子役の久世星佳さん。
上品なたたずまいと魅力的な笑顔。でもその美しい声で繰り出される毒舌の切れ味と言ったら…
「私が食べる価値のある料理かどうか、楽しみね」
「知識がないって恐ろしいわね~」
…カッコよすぎて、宇田川綾子のファンになってしまいそうです。
 
 ご本人役で出演してくださった、なだぎ武さん。
さすが本職の芸人さん、卓越したユーモアセンスとバランス感覚でドラマの中のバラエティ番組を盛り上げてくださいました。
 
 他に、マリコに奇想天外なイタズラを仕掛ける被害者の息子役に平岡拓真くん、アクの強いシェフ役に遠山俊也さん、「ギョーカイ」臭ぷんぷん漂うプロデューサー役の近江谷太朗さんなど、芸達者な方が揃って濃厚な「うま味」を出してくださってます。
 
 そして今回最高のスパイスとなったのが、「マリコの料理シーン」。
マリコさん、味の秘密を解明しようとしてなんと卵焼き作りに挑戦します。
共有スペースにガスコンロを持ち込み、赤いエプロン姿で卵を割り、ボールに入れる……と思いきや、なんとビーカーに。
そしてお箸でかき混ぜる、と思いきや、銀色の棒で混ぜてます……よく見たらそれ、明らかに実験で使うやつ(薬さじ)じゃないですか!!
マリコの奇妙なクッキングのゆくえは果たしてーー?
沢口さんの天性のコメディエンヌっぷりがいかんなく発揮され、異色で、このうえなく楽しいシーンになりました。
 
 脚本家や制作陣が知恵を絞ってレシピを考案し、最高の食材をふんだんに使い、監督の田﨑「シェフ」が腕を振るったこの逸品、是非できたてをお召し上がりください。

(文責・東映プロデューサー 中尾亜由子)


■第6話 こぼれ話

 「『科捜研の女』観てると、今まで知らなかったことが登場して、『そんなことあるんだあ』と感心します」というご意見をいただくことがあります。そう褒められるの、すごく嬉しいです。脚本家陣はじめ企画チームは新鮮なネタをいつも探して、常にチャレンジをしようとしているので。
ですが、よくよく調べてみたら違ってたり、専門家に監修してもらったら根本的な部分でダメ出しがでたり、そんなことがよくあります。こうした壁にぶつかると、クラッと目眩がしますね。いやあ、科学捜査は難しいです。僕なんか大学では文学部でしたし、筋金入りの文系人間ですから「わからん! 許して!」と泣き言を言いたくなります。ですが……違っているとわかったら対処するしかありません。

 第6話でも「調べてみたら、ゲゲッ」ということがありました。この話は「シミ抜きって、どうですか? 科学捜査と相性が良さそう」という脚本家・松本美弥子さんの提案から始まったのですが、「着物も綺麗に映せそうだし、シミ抜き話、面白そうですね!」と僕らもノッて、プロットを書いてもらいました。で、打ち合わせを重ね、ある程度ストーリーを詰めていったのですが、調べていてもわからないところがあるので取材しよう、となりました。一同、京都へ。
松本さんと田﨑監督と私たちプロデューサーズで「きものトータルクリニック吉本」さんにお話を聞きに行きました。

 取材前に松本さんが組んでくれたプロットは、「職人・串本はわずか一日でシミを抜いた。作業、速ッ!その驚異的な速さの理由は、そのシミが(一番弟子の自殺に関係するもので)既に成分を熟知したシミだったから」という点がキモになっていました。放送をご覧になった方はお分かりでしょうが、これは完成した内容と少し違っています。そうです。私たちは「シミを抜くのはきっと何日もかかるのだろう」と思っていたのです。

 ですが、「きものトータルクリニック吉本」さんでお聞きしたところ「成分を知っていようがいまいが、どんなシミでも作業としてはたいてい一日で済みますよ」(色が抜けたところの補修等はまた別として)とのことでした。なんとー!プロの技術は想像より遥かに高等だったのです。へー、すごいねー。ははははは。いや! 感心している場合じゃありません。焦りました。プロットで謎解きのキモになっていたことが間違っていたのです。これではこの話は成立しません!

 それでも色々お聞きしたところ、「シミが広範囲にわたっている場合、濃い色に染め直すこともある」「柄(金箔を使った加工や刺しゅう)の補正もする。それが大変」等々、非常に興味深いことをお聞きすることができました。なので「捜査で追っかけていた着物がいきなり色が変わってたら面白いじゃないですか!松本さん、これでいきましょうよ」と、まだ思案中の松本さんにムリヤリ鴨川納涼床で美味しいものをご馳走し、その代わりに新プランを強引に押し付けました。結果、松本さんは新要素を盛り込んで、当初のプランを上回るストーリーにしてくれました。感激。

 実務的なことでも問題はありました。予算を考えて、着物は撮影所に有るものか、お借りしたものを使って撮影しようと思っていたのですが、「染め直し」のアイデアが出てきた時点でそれが不可能となりました。「ええ?作らないといけないってこと?」カット数を制限出来たら後処理(CG)で色を変えるのも可能というアイデアも出たのですが、「これがメインの話だから腹を括ろう」と決断。予算はやりくりして結局、牡丹の着物は水色と紫色とふたつ仕立てました。お金はかかりましたが、おかげで田﨑監督が良い画をいっぱい撮ってくれました。

 まあ、そんなこんなで、『科捜研の女』企画チームは毎回毎回、壁にぶちあたってはクラッと目眩。目眩に次ぐ目眩。そんな日々を送っています。でも面白い作品が出来上がったら、苦労はすべて吹き飛びます。6話も色々な苦労が吹き飛んだ一本になりました。いかがでしたでしょうか? これからも「知らないことを知る気持ちよさ」をお客さんと共有したいと思っています。放送を見て「これ、知らなかった。面白かったよ」って思ったら、感想聞かせてください!

(文責・東映プロデューサー 塚田英明)


PAST EPISODE 過去のエピソード

「春スペシャル」
2016年4月17日(日)よる9時放送
監督:兼﨑涼介 脚本:真部千晶
最終話「絶対に捕まえる女」
2016年3月10日放送
監督:森本浩史 脚本:櫻井武晴
第14話「絶対に捕まらない男」
2016年3月3日放送
監督:森本浩史 脚本:櫻井武晴
第13話「耳撃者」
2016年2月25日放送
監督:匂坂力祥 脚本:吉本昌弘

INFORMATION 番組情報

CAST
榊 マリコ …… 沢口靖子

土門 薫 ……… 内藤剛志

風丘早月 ……… 若村麻由美

落合佐妃子 …… 池上季実子

宇佐見裕也 …… 風間トオル

藤倉甚一 ……… 金田明夫

日野和正 ……… 斉藤 暁

相馬 涼 ……… 長田成哉

木島修平 ……… 崎本大海

涌田亜美 ……… 山本ひかる

蒲原勇樹 ……… 石井一彰

ほか
STAFF
【監 督】田﨑竜太、森本浩史 ほか

【脚 本】戸田山雅司、櫻井武晴 ほか

【音 楽】川井憲次

【ゼネラルプロデューサー】井圡 隆(テレビ朝日)

【プロデューサー】関拓也(テレビ朝日)、藤本一彦(テレビ朝日)、塚田英明(東映)、中尾亜由子(東映)

【制 作】テレビ朝日、東映
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