旅を終え、元の世界に戻ってきた夏海。
同窓生にも会え、気分は有頂天。だが、この世界にはもうひとりの夏海が……。
「ひとつだけ言える。ここは《ネガの世界》だ」
隠されていた真実が暴かれるとき、誕生する───新たなるディケイドの姿が、そして新たなる旅が。
当たり前のように見知っていた世界が、ほころびはじめる。
日常の向こうに、隠されていた別の何かが透けてくる……。
記憶も、自分の世界さえも見失った士に対し、夏海が「笑いのツボ!」等と余裕をかましていられたのは、《自分の世界》が確固としてある、という一種の自信があったのかもしれません。
夏海の旅は、「帰るための旅」でした。
彼女は確信していたはずです。9つの世界をめぐる旅は、出発点である自分の世界に戻ってくることがゴールなのだと。それがハッピーエンドなのだと。
けれども。
そんな確信が揺らぎはじめます。
夏海にとって最大の試練。これを乗り越えたとき、ようやく彼女は、士やユウスケと真の意味で肩を並べる《旅の仲間》になるのかもしれません。
脚本:井上敏樹 監督:田崎竜太