仮面ライダーのド真ん中『仮面ライダービルド』
「〇〇な仮面ライダーなんて、もう仮面ライダーじゃない」
ここ最近の仮面ライダーは、よくそんなことを言われておりました。しかし、仮面ライダーらしからぬ風貌をしていても、仮面ライダーたちには“悪とその出自を同じくする”という共通点がありました。『仮面ライダービルド』は、その仮面ライダーらしさを真っ向から描き出すシリーズです。さらに、平成仮面ライダー19作品目となる『ビルド』は、システムや設定など、「仮面ライダー」のド真ん中をつく美味しいトコ取りをしたシリーズであるとも言えます。
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ポイント1 主人公がシステムを発明しちゃう
仮面ライダーに必ず登場するのがベルトやマシン。主人公の仮面ライダービルドこと桐生戦兎は、科学を応用して様々な発明品を自分で作ってしまいます。例えば、劇中で出てくるフルボトルという様々なモノの成分が入ったボトル。このボトルを生成する機械も戦兎自身の発明品です。武器やバイクまで戦兎自身の発明品で、さらにベルトに内蔵されたボトルとボトルの「ベストマッチ」を判別する機能も戦兎が開発したものです。ライダーとしてこれほど頼もしい主人公は他にありません。
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ポイント2 人体実験と主人公の記憶喪失の謎
原作の仮面ライダーといえば、悪の組織によって人体実験を施された主人公が正義の心に目覚め、逆に悪の組織に立ち向かっていくというもの。実は『ビルド』で登場する怪人・スマッシュもまた、人間が人体実験されたことによって生まれる存在です。その実験をされた人々は記憶が曖昧だというのですが、主人公である戦兎の記憶喪失とも関係があるのでしょうか? “仮面ライダーの存在自体が怪人とイコールなのではないか”、という仮面ライダーというシリーズのテーマの原点を見ることができるかもしれません。
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ポイント3 男と男の熱いドラマ
戦兎の記憶喪失の謎解きの鍵を握るのが、無実の罪によって刑務所から逃げ出した龍我です。戦兎は記憶を探るために、龍我は冤罪を晴らすために、2人の男たちはぶつかり合い、そして時には協力しながら謎に迫っていきます。2人を取り巻くのは、誰が仕掛けているのか分からない陰謀であり、追えば追うほど本当のことがわからなくなる真実です。仮面ライダー1号と2号の絆のように、また平成仮面ライダーシリーズでも数多く描かれてきた男同士の物語が戦兎と龍我という2人を通して熱く描かれます。
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ポイント4 新機軸“国境のある世界”
『ビルド』にしかない仕掛けといえば、国が壁によって分断されていることでしょう。パンドラボックスなる謎の箱によって創り出されたスカイウォールと呼ばれるこの壁は、日本に国境という概念を生みます。国境によって分断された東都、西都、北都には、それぞれに政府が存在し、それぞれに思惑があるのです。国境とそれぞれに住む人々の思いがどのように絡むのか、そしてそこから何が生まれるのか。その時、仮面ライダーという存在がどうなるのか―――? シリーズ最大のテーマは、実はこの壁と共にあるかもしれません。
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さて、そんな中、現在放送中の『仮面ライダーエグゼイド
』第44話でビルドが一瞬だけ登場しました。仮面ライダーゲンムと出会ったビルドの行動にはどんな意味があったのでしょうか? 上映中の『劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』をご覧になった方ならば、今回の登場に「おや?」と思ったかもしれません。ちなみにビルドとエグゼイドは12月9日公開の映画『仮面ライダー 平成ジェネレーションズFINAL』での共演が決まっておりますので、今回のテレビでのゲンムとの共演をご覧になった皆さんは、映画でのエグゼイドの共演を見て、12月の映画に備えて頂いて損はないかと思います。
是非お楽しみに!
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(文責・大森敬仁)