王様戦隊キングオージャー

第2話 誰がための王

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脚本:高野水登 監督:上堀内佳寿也

2000年の眠りから蘇ったバグナラクによって人類は危機を迎えるが、
シュゴッダムの青年・ギラはキングオージャーを覚醒させ、見事バグナラクを討ち倒す!
しかし、国王ラクレスは、王に歯向かう反逆者としてギラを捕らえ死罪を宣告する。
そこに現れる、ンコソパ国王のヤンマ・ガスト。
5王国同盟を拒否した問題児・ヤンマは敵か味方か!? 
ギラは、そんなヤンマにンコソパの国へと連れ去られてしまう。

(文責 髙橋諒平)


『王様戦隊キングオージャー』第1話はいかがだったでしょうか?

自己主張がとにかく強い王様たち、主人公としては型破りな「邪悪の王」を名乗るギラ、最新技術で創り出されたファンタジーな世界、前作『ドンブラザーズ』とは違った意味で、情報量の多さに驚いた方もいるかとは思います。

しかし、まだまだ物語は始まったばかり。
これからも驚かせ続ける自信があります。
なんたって、『王様戦隊キングオージャー』には今まで誰も見たことのない世界が5つも存在するのだから!

というわけで第2話の見どころ。
国王ラクレスに捕らわれたギラの前に、ンコソパ国王・ヤンマが現れる所から始まります。

1話のヤンマは、とにかくなりふり構わずで、問題児な印象を受けたかもしれません。
2話では、そんなヤンマがどんな王様で、なぜ多くの国民の頂点に立てているかが分かる回となっています。
きっと見れば今よりもっとヤンマの事を好きになるはずです。

そして、テクノロジーの国・ンコソパの全貌が明らかになります。
今まで多くのSF作品でサイバーパンクな世界観は描かれてきましたが、ンコソパの世界観は唯一無二の仕上がりとなっています。
ンコソパの街並み、衣服、小物、国民たち、全てに目を凝らして見てください!

(文責 髙橋諒平)


【第1話の裏側】
『王様戦隊キングオージャー』第一話お楽しみいただけたでしょうか?
5人の王様、5つの国、覚醒するキングオージャー、とにかく見どころの多かった第一話になったのではないかと思います。

そして、地上波ドラマでは類を見ないようなCG合成の数々。
「これってどうやって撮っているの?」と思った方の疑問に答えるためにも、このコーナーでは『王様戦隊キングオージャー』制作の裏側・キャスト情報をお届けできたらと思います。

物語は「始まりの国・シュゴッダム」から幕を開きます。
調印式で盛り上がるシュゴッダムの街並みがお披露目されました。

この部分は、グリーンバックを背景にシュゴッダムの街並みを合成して撮影しているので、現場はこうなっています。本編の映像とはだいぶ違いますよね。
この素材を元に、多くの合成作業をへて、本編のシーンが出来上がります。
つまり、一つのシーンをつくるだけでも、とてつもない労力がかけられているのです!

シュゴッダムは中世欧州をイメージしてつくられた街並みで、中世建物とSF建物が混在しております。

特徴はなんといっても、街に飛び交うシュゴッド(機械昆虫)たち!
なんと、街の中に多く見られる虫型の乗り物も全て1からデザインされ、CGを駆使して動いているのです!見逃し配信でもう1度、どんなシュゴッドがいるか確認してください!


シュゴッダムに続き、イシャバーナ・トウフ・ゴッカン・ンコソパの4国とその王様達も登場!


各国には王様・側近だけではなく、国民の姿も!

イシャバーナ国のメイド長役では、スーツアクター・アクション女優としても活動している神里まつりさん、トウフ国の農家長役では、多くの刑事ドラマなどに出演している菊池隆志さんが出演してくださいました!

ちなみに、カグラギの持つこの「扇子」の文字デザインは、『ゼンカイジャー』サブタイトル題字・『ドンブラザーズ』猿原真一俳句文字をデザインした、平原ようすさん!戦隊3作品連続お世話になっています!





そして…本作の主人公、ギラの登場!





ん?どこかで見た顔が…
そう!戦隊シリーズで素面出演常連の、スーツアクターの高田将司さんが兵士役で登場しています!


続く、シュゴッダムの城内で5国の王達が対面するこのシーン。
CG技術をふんだんに使っている本作では、背景は合成でも床や小物はほとんどが作り物!



たいていのドラマでは、既存の物を借りたりして使っているものなのですが、『キングオージャー』にしかない描けない世界をつくるために、小物にはとことんこだわり、0から作り上げています。


見てください。この神々しいシュゴッダムの玉座。
細部にまでこだわりぬいてつくられた、美術部の努力の賜物です。



王様たちが集う裏で、2000年の眠りをへてバグナラクが復活します。

今回登場した怪人はダンゴムシがモチーフのダンジーム。
上堀内監督の提案で、あえて一度も「喋らない」怪人になっています。
静けさによって恐怖心が掻き立てられる、恐ろしい登場シーンの演出が素晴らしかったです。


そして、変身した王様たちと、戦闘員サナギムによる等身大アクションシーン!


3人のキャラクターを捉えた、三者三様の戦いぶりが見れましたね!
本作では変身剣・オージャカリバーの他に、「キングズウェポン」という盾の武器が登場します。

このキングズウェポンにはいくつかのモードあり、このシーンではブラックが「爪モード」、イエローが「鎌モード」、パープルが「弓モード」となっています!要チェックです!



CGの話に戻りますが、本作では従来のグリーンバック合成に加えて、業界内では最注目のLEDウォールを使ったバーチャルプロダクションという技術を使って撮影を行っています。
スタジオ内に巨大なLEDパネルを設置し、背景に映像を流しながら撮影しているのです。


ディズニー制作の配信ドラマ『マンダロリアン』など、LEDウォールを使った撮影は海外では主流になりつつありますが、ここまで作品全体にバーチャルプロダクションが使用されている作品は国内初ではないでしょうか!

例えば、ギラとラクレスが対面するこのシーン。


合成後の映像に見えるかもしれませんが、合成をすることなくこの水準の映像が撮れちゃうのです。
末恐ろしい技術です…!

この企画でLEDウォールが使われるようになった詳しい経緯は【企画編】で!


ギラが「邪悪の王」と高らかに宣言するこのシーン。1話の山場とも言える非常に重要な場面でした。
現場では何度もリテイクを重ねた末につくりあげた珠玉のシーンとなっています!


「俺様が世界を支配する!!!」
ギラの掛け声に呼応するように、ゴッドクワガタが目覚めます。

そして、ついにキングオージャーの覚醒!

ダンジーム、爆発四散!!


キングオージャーの覚醒からの大迫力の巨大ロボ戦は圧巻でした。

CG技術、ミニチュアセット撮影、LEDウォール撮影、今まで戦隊が積み重ねてきた特撮の技術と新しい技術を融合した、『キングオージャー』にしか描けない戦闘シーン!

まさに「度肝を抜く」映像を堪能できたのではないでしょうか。

来週からも度肝を抜き続けますので、ぜひお楽しみに!

(文責 髙橋諒平)



【企画編】
前回からのつづきです。
声をかけてきたツークン研究所の方々はこう言いました。
「アセットを作るなら早めにお願いします」と。

アセットとは、デジタル的に作られる3Dの物体、建造物、空間のことです。それと同時に、撮影所にはLEDウォールが導入されるという噂が広まっていました。デジタルアセットをLEDウォールに映し出し、その前で役者が演じ、背景アセットと同期したカメラで撮影していくバーチャルプロダクションという撮影技術は、特に海外では、コロナ禍の映画やテレビプロダクションにおいて普及しつつありました。

「アセット」と「LED」という言葉を聞いた私の脳は、勝手に「このファンタジックな世界観はアセットで表現してバーチャルプロダクションでやるべき!むしろそれしかあり得ない!」という結論に至ってしまったのです。

ここが「王様戦隊キングオージャー」のプロダクションの原点であり、そして全てのスタートでした。
架空の世界を作り上げるという壮大な旅の始まりです。
しかし、これから始まる膨大な作業量を知る由はありませんでした。
国を一から作る。それを五つも。
さて、どこから始めましょう。
すべてはコンセプトアートからです。
つづく

(文責 大森敬仁)