2023.02.10

市川右太衛門『旗本退屈男』など——撮影所に残る東映時代劇スターの豪華衣裳37領を一挙展示!!
「甲斐荘楠音の全貌―絵画、演劇、映画を越境する個性」展が京都・東京で開催!

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大正から昭和初期に日本画家として活躍した異才・甲斐荘楠音(かいのしょう ただおと/1894~1978)。彼は美醜相半ばする人間の生々しさを巧みに描写した日本画家として近年再び高い評価を受けるようになりました。京都の画壇を離れ、1940年初頭に考証家として映画界へ転身した甲斐荘は、東映時代劇華やかなりし時に市川右太衛門をはじめとする数々の映画で衣裳デザインを手がけました。2019年、東映京都撮影所内で永年大切に保管されてきたそれらの衣裳について、東映経営戦略部フェローの山口記弘が国際日本文化研究センターの協力を得て調査を重ね、改めて外部に数々の衣裳を披露しました。これまでは絵画のみが先んじて評価されてきた甲斐荘ですが、衣裳の披露を契機に、今回、映画や演劇でもその才能を発揮した、枠組みに収まらない「越境性」をフィーチャーした回顧展が、実に25年ぶりに京都・東京にて開催されることになりました。

芝居を愛し、人間の形の美を超えた生命の美を捉えたいと考えた甲斐荘の後半生は、古今の美術や衣裳風俗に関する見識を買われ、時代劇映画の考証で花開きます。そして画家ならではのセンスで、美男美女たちが演じるドラマを彩る華やかな衣裳のデザインを手がけ、1953年、ベネチア映画祭で銀獅子賞を獲得した巨匠・溝口健二監督の『雨月物語』において、風俗考証を担当した甲斐荘自身がアカデミー賞衣裳部門にノミネートされ、映画界で一躍脚光を浴びました。特に市川右太衛門の代表作『旗本退屈男』シリーズ(1950年~1963年)では、右太衛門の期待に応え、カラーになると共に、豪華絢爛な衣裳を数多くデザインし、多額の予算を投じて制作しました。展示会では『旗本退屈男』シリーズ27領(うち初公開19領)の衣裳に加えて、大友柳太朗の『鳳城の花嫁』(1957年)『丹下左膳』(1958年)、大川橋蔵『新吾十番勝負』(1959年)、中村錦之助(萬屋錦之介)『反逆児』(1961年)、そして市川右太衛門の息子である北大路欣也『徳川家康』(1965年)など、東映時代劇作品の貴重な衣裳、計37領が展示されます!

映画ファンにとっては、往年のスターが着用した実物の衣裳を目の当たりに出来るまたとない機会です。ぜひ足をお運びください!

©東映

©東映

1.名称

甲斐荘楠音の全貌―絵画、演劇、映画を越境する個性

2.会期・会場

京都会場

会期

2023年2月11日(土・祝)―4月9日(日)

会場

京都国立近代美術館

主催

京都国立近代美術館、日本経済新聞社、京都新聞

協賛

高砂香料工業

特別協力

東映、東映太秦映画村  協力:国際日本文化研究センター、京都日本文化資源研究所

開館時間

午前10時~午後6時(毎週金曜日は午後8時まで※入館は閉館30分前まで)

休館日

月曜日

観覧料

一般:1,800円(1,600円)、大学生:1,100円(900円)、高校生:600円(400円)

  • ( )内は前売りおよび20名以上の団体
  • 中学生以下は無料

東京会場

会期

2023年7月1日(土)-8月27日(日)

会場

東京ステーションギャラリー

主催

東京ステーションギャラリー、日本経済新聞社

協賛

高砂香料工業

特別協力

東映、東映太秦映画村

協力

国際日本文化研究センター、京都日本文化資源研究所

開館時間

午前10時~午後6時(毎週金曜日は午後8時まで※入館は閉館30分前まで)

休館日

月曜日(7月17日は開館)

観覧料

未定

山口記弘コメント(東映経営戦略部フェロー)

昭和30年代前半、年間11億人以上の観客を集めた日本の映画全盛の中心は太秦の時代劇でした。東映、大映、松竹の三つの撮影所が互いにしのぎを削って数多くの娯楽時代劇を作り、日本中の人々を魅了しました。その三つの撮影所を股にかけて活躍したのが甲斐荘楠音です。驚くべきことに、そこで作られた大作時代劇、東映、松竹の盆正月を飾る人気シリーズに甲斐荘が衣裳考証家として関わっていました。いわば、数億人の人々が甲斐荘の映画衣裳を見て楽しんでいたとも言えます。甲斐荘は映画全盛の隠れた立役者でした。また、当時、京都は着物産業の中心地であり、甲斐荘がデザインし、京都の技術の粋を集めて作った映画全盛期の時代劇衣裳は貴重な美術品、文化遺産でもあります。その技術の高さもぜひご覧ください。

お問合せ

東映経営戦略部広報室