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新文芸坐 追悼・黒澤満 2月19日(火)【仲村トオル】トークショーレポート

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2019.02.20

昨年11月に逝去した名プロデューサー・黒澤満を偲ぶ特集上映が現在東京池袋・新文芸坐にて3月2日(土)まで開催中です。上映作品に因んだトークショーも開催されています。2月16日(日)は松田優作さんが主演した、東映セントラルフィルム第1回製作の「最も危険な遊戯」と、続くシリーズ2作目「殺人遊戯」が上映され、両作品の監督村川透監督が登壇されてトークショーが行われました。 19日(火)には上映作品「新宿純愛物語」「ラブ・ストーリーを君に」の2作品が上映され、両作品に出演した俳優の仲村トオルさんのトークショーが実施されました。そちらの模様をレポートいたします。

映画「ビー・バップ・ハイスクール」のオーディションで主人公のひとり中間トオル役でデビューし、94年まではセントラル・アーツに所属俳優として在籍していた仲村さんは「ビー・バップ・ハイスクール」で一躍人気スターとなり、その監督でもあった那須博之監督の「新宿純愛物語」に出演した当時は寝る間もないほど多忙な時期だったそう。


“テストを10回、20回するのは当たり前の那須監督の現場で、地下街や採石場など閉鎖された空間での撮影では、連日いつ日が沈んだのかわからなかった。背中に火をつけられる撮影も、終われば眠らせてくれるなら問題ないと思った。”と劇中に体当たりで挑んだアクションシーンについても、苦ではなかったと振り返りました。


車のガラスを足で割るシーンについて“アクション監督から危険なので手前で止めるように指示されたのに、勢いで割ってしまい、共演した役者さんが驚いてました。”と迫力のシーンの舞台裏を楽しそうに思い出していらっしゃいました。
ご自身で歌われることになった主題歌についても、“自分に向いているのかな?と感じながらも当時は黒澤さんや那須監督が良しとしたことに疑問を抱くことなくチャレンジした。ただ出演した歌番組を見た柴田恭兵さんからは、『(番組を見ていて)椅子から転げ落ちちゃったよ』と後から言わたりしていました。”と、当時の思い出を語ってくれました。


一方、当時国民的美少女として一世を風靡していた後藤久美子さんの映画デビュー作「ラブ・ストーリーを君に」ではゴクミの恋のお相手役として出演。血の気の多いキャラクターが多かった時期、監督の澤井信一郎さんからは“『このカットの時はかかとで回れ』など、具体的な指導”が多く、演技についてもいろいろなアドバイスをいただいたそう。
深夜繁華街での撮影時、酔った若者に度々撮影を妨害された際には、撮影監督の仙元誠三さんの指示が飛び、スタッフ総出で“短時間解決がなされた”というエピソードも披露。“自分もダッシュで駆け出した瞬間に、監督が『(主演俳優の)お前が行くな!』と怒った。現場中、物静かな監督が最も声を荒げた瞬間。(酔った若者たちは)仙元誠三さんを敵にしたのがまずかった”と懐かしんでいました。


3月1日(金)に上映予定の「行きずりの街」で久々にセントラル・アーツ製作の作品に出演したことについて、“家出した親不孝の息子が、「あぶ刑事」の時だけ法事のように戻って来るような感じだったが、役者25年、50本目の出演作品に丸山昇一さんの脚本、仙元誠三さんの撮影、初めての阪本順治監督という場を用意してくださって、あの当時の自分には感謝の気持ちが足りなさ過ぎた”と振り返りながら、“黒澤満さんへの感謝の気持ちは、いくら語っても語り尽くせない。あんなに寛大で、寛容で、人のミスを責めたり決してしない人はいない。この脚本ではできませんというような、怒鳴られてもしょうがないということも何度もしてしまったのに、こちらの意図も汲んでもらい、叱られたようなことはなかった。唯一、大先輩の共演者の通夜に撮影後の深夜に伺いたいと相談した時、そのせいで逆に迷惑をかけてしまう人が出てしまうことを考えなさいと、いつもより強めにたしなめられたことがありました。”と思い出を語り、“俳優0歳児の時に出逢えて、とても幸福でした。”と締めくくられました。


【追悼・黒澤満】今後のトークショーの予定

24(日) 上映作品 処刑遊戯  
野獣死すべし 
※トークショー 丸山昇一(脚本)

25(月) 上映作品 ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎哀歌〈エレジー〉
ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎音頭
※トークショー【追加決定】 髙瀬將嗣(技斗)

27(水) 上映作品 鉄と鉛 STEEL&LEAD
JOKER ジョーカー
※トークショー きうちかずひろ(監督)
 
28(木) 上映作品 俺っちのウエディング
身も心も
※トークショー 荒井晴彦(監督)

2(土) 上映作品 探偵物語
蘇える優作 「探偵物語」特別篇
※トークショー 根岸吉太郎(監督

その他上映スケジュールはこちらでご確認ください
http://www.shin-bungeiza.com


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