東映ホーム > 東映マイスター > vol8アニメーション勝間田具治 インタビュー 【異分子】との衝突(クラッシュ)がアニメーションを活性化する!

ヒーローアニメマイスター 勝間田具治監督 『アニメーションに伝達された活動屋魂!』

【異分子】との衝突(クラッシュ)がアニメーションを活性化する!


京都で培われたアクション演出が、当時の子どもたちの心を捉え、『タイガーマスク』『デビルマン』『マジンガーZ』は大ヒットとなります。特にマジンガーシリースは“超合金”“ジャンボマシンダー”など後に東映アニメーションを支えるキャラクタービジネスの基礎を作り上げました。

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発売元:東映アニメーション
/マーベラスエンターテイメント

勝間田)結局『風のフジ丸』から、僕はずうっとアクション一筋。少女モノも得意だったんだけどね(笑)。

剣戟の“間”ももちろん入れてきたけど、僕はよく“三角演出”というのをやったね。たとえば『タイガーマスク』だと、いきなりタイガーの“アップ”から入って、ポーンとキャメラを俯瞰で引くと対決する二人が映る。それからキャメラを下ろしていくという、キャメラの動きが三角形を描く型で、当時よくつかったね。はじめ「なんだろう」と思わせて、次に状況がわかるカット、それからカット割って芝居に入っていくんだな。これはマキノさんでも田坂さんでもない、自分流だな。やっていくうちにそうなっちゃった。

フォロー・パンとかキャメラを動かす演出をアニメに取り入れたのも、僕なんかが走りじゃないかな。『タイガーマスク』はその手法を多投したわけ。アニメーターに説明するのに、「主人公の右をナメて、向こうが見えちゃう、あ、キャメラ移動してるって思ってください、それでぐうっと回り込んで・・・」っていうと、「だからどうやって描くんだ!」って怒るのよ(笑)。実写だとたいしたことないんだけど、アニメだとグルっと回る主人公とか、移動する背景とか、全部絵に描かないといけないんだけど、俺らはそういうの、大変とは思わないわけ(笑)。それまでアニメでパンっていうと、絵をただ横に動かしていくのが多かったから、アニメーターは面食らっただろうね。

あと「主観」と「客観」を使う、なんてのは実写ではあたりまえだけど、やっぱり最初は伝わらなくてね。『マジンガーZ対デビルマン』の最後には富士山、ぐるぐる回しちゃったりしたもんな(笑)。
 
 
【異分子】。当時の勝間田さんら京都のスタッフを、清水さんはそう評します。アニメ一筋の世界の人たちと根本的に違うバックボーンを持った“実写畑”の人たち。彼らとの交流が、他と一線を画す“東映動画”を作り上げていったと清水さんは指摘します。

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発売元:東映ビデオ

清水) アニメーターや、アニメの世界を知ってる演出家だと、難しいカットを描く大変さを知ってるわけ。たとえばアップにくらべ、全身を入れると全部描かないといけないでしょ?そうするとつい、寄りの絵を使っちゃうんだけど、勝間田さんは実写から来てるから、そういうこと考えないわけ(笑)。これはヒキの画がええわぁ!なんて感じで。たとえば『三国志』の群集シーンなんかでも、実写のようなアングルで、ロングショットでやるんですよ。

何が難しいって、馬の走る絵なんてのは、描けるアニメーターがそもそも少ない(笑)。でも勝間田さんは残酷だから描かせるわけ。何がおかしいんだ、必要なんだ、って。

だからスタッフは育つんですよ。アニメの人たちだけで作っていると、無意識に効率的に、やりやすいようにやろうとしちゃうんだけど、こういう異分子がいたおかげで(笑)スタッフの眠っていた力を掘り起こしていったんですね。そこが、東映動画が、他のアニメ映画会社と違うところ。特に勝間田さんたちは、長編アニメの黄金時代から遅れてやって来て、テレビアニメの礎を作っていったんだけど、彼ら実写畑から来た人たちのエネルギーや作法が、ちょうどリミッテドアニメに向いていたんでしょうね。

勝間田)テレビアニメだから、枚数の制限は多かったね。『狼少年ケン』のころは4,200枚かな、それが段々、3,000枚までいったかな。虫プロ時代の出崎(統)さんは、止め絵で枚数減らして2,800枚くらいであげていたね(笑)。

マジンガーとパイルダーがドッキングするところは使いまわしたな。バンクって言うんだけど、当時はフィルムだから、そこだけ35ミリで残しておいて、マスターポジから毎回使う。それもマジンガーが最初かな。それでもいつもいつも人の作ったのを使うのはキライで、一生懸命別の手を考えたもんだよな。

アニメだから出来る、実写じゃできないことなんかはどんどんやった。マジンガーがひっくり返ることなんかもね、兜甲児が操縦しているところを、普通はキャメラを回すんだけど、僕は絵をひっくり返しちゃうんだよ。(一枚の絵で)キャメラで簡単に動かすと、ただ回ってるようにしか見えないから、一枚一枚描かせるの、回ってるとこの絵を(笑)。それもただ回るだけじゃ面白くないから、こうひっくり返りながらこっちに飛び出してくるとかやってね(笑)。

やってる最中は気づかなかったけど、京都時代に培ったものは自然に入ってるな。『真田風雲録』(1963)とかで加藤(泰)さんなんか、地面に穴ぼこ掘って、こんなんなって(見上げるように足元から)撮ってたけど、アニメではそれを想像しながらコンテ作ったりするから、描くほうは大変みたい。若いころは探して歩いたからね、もっとヘンテコな絵はないか、なんて(笑)。



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