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vol.4 平成仮面ライダー 10年を駆ける!

平成仮面ライダーのテーマ

取る物も取りあえず飛行機に乗ってみました

司会) お二人が仮面ライダーに関わった時は何時でしたか。
田﨑) 『アギト』立ち上げの頃でした。その時僕はアメリカに居て、白倉さんがロスまで話に来てくれました。
白倉) もっと正確に言いますと、その前にメールのやり取りもあり、常に真面目に取り組んでいらっしゃる監督と泥酔男"白倉"としての交流もありました(笑)
司会) どうして田﨑監督にオファーを。
白倉) 当時の「ライダー」が置かれている状況というのは、「平成仮面ライダー」という概念はなくて、『仮面ライダークウガ』という番組が一つあるだけで、次から漠然としてやろうと考えていたのは、当時のテレビ番組としては独特なものをやろうと。それには難しいことがあって、脚本家を含めて皆が枠から脱しないと駄目で、きちんと考えて、ある程度勝算を持って進めていく事が必要でした。
その為には皆を束ねて頂く人材、それは「田﨑監督」が一番適任ではないかと想像していたんです。実は想像以上だったんですけれども。メールのやり取りの中で、時に失礼な物言いをしてしまうこともあり、これはいかんとロスまで説明がてら"謝り"にいったわけです。
田﨑)  いやいや、そんなことは。ロスの空港に迎えに行くと、東映に出勤するのと同じカバンを持って現れたんです。すごいなあと(爆笑)
白倉)  取る物も取りあえず飛行機に乗ってみました。 
田﨑) すると、取る物も取りあえず喫煙所に行き、タバコを吸い(笑)。11時間もの禁煙を強いられていましたからね。そしてその日一日、朝飯から晩飯まで話をしました。
司会) 異質なもの作りたいという話がありましたが、その当時、具体的にはどのように違うものを作ろうとしていたのですか。
白倉) すごく簡単に言うと、アメリカのドラマみたいなものを。「ER」だとか「ビバリーヒルズ青春白書」とか、いわゆる"群像劇"ですね。かつ連続ドラマ。アメリカのドラマは1話完結ですが、群像劇でありながらそれぞれのドラマが折り重なって流れていくようなことをやりたかった。ヒーローものというジャンルに限らず、番組の体裁としては今までとは違うものでした。1年間というシリーズを考えると、1年間だからできること、かつお客様が毎週毎週楽しみにしてくれるような内容というのが一つ。もう一つはそれ以前のいろいろなライダーのなか、"石ノ森章太郎先生の作家性"というものをどう捉えていくのかということ。形式にとらわれず、ライダーの眼が赤いとかマフラーがあるとかではなく、根底に掘り下げていくとどうなっていくのかということ。この二つのテーマをロスで延々と考えていました。

仮面ライダークウガ

田﨑) アメリカ人のように朝からTボーンステーキなるものを頼んでみたりしてね。(笑) その時一番印象に残っていたのは、白倉さんの話でもありましたが、"石ノ森章太郎先生の作家性"を、あの時は端的に一番大きなテーマとしては"父親殺し"というか、"創造主との戦い"があるという話が、自分にとってはおもしろそうだなと感じました。群像劇&連続ドラマというのは、ある種の挑戦でした。『クウガ』という番組を考えると、一人から3人(ライダー)に広がったという分かりやすさはあるんですよね。というのが面白いと思いました。
司会) お互いを知らない3人であると。
白倉) そうそう、チームじゃないというのが肝なんです。3人の仮面ライダーが居ます、でもお互い関係はありませんというのは、企画としては分かりにくいのですが。
田﨑) 1・2話の時、3人がすれ違う形で描かれていたというのが、台本を読んだとき洒落ているな思いましたし、この3人がどうなっていくのかという期待感があって、3、4、5話と進むに連れて彼らの関係がダイナミックに動きはじめる感じがして気持ちよかったことと。それと思った以上に展開が早くて、この後どうなっていくんだろうかと思いました。

仮面ライダーアギト

司会) 『アギト』は最終的に何処に着地したのでしょうか。
白倉) 何でそんなことやろうとしたんだというくらいに壮大なことを考えていたんです。(笑) "後日談"まで行きたいと。過去から現在、未来に至るまで全部やりましたって言いたかった。最終回に向けてストーリーや謎解きを進めていくのではなく、その前にすべて終わりにして、「この先彼らはどう生きていくのか」を描こうとしたのがシリーズの終盤でした。
司会) 最初からそういう構想だったんですか。
白倉) やっていくうちにそうなりました。シリーズ開始の時には、1年間の話の内容が大体こんな形でというのを作って、進めていくのですが。いかに番組であって架空の人物とはいえ、人と人が交わり影響しあって関係性が変わったりするので、当初の目論見通りに動かすわけにはいかなくなるんです。3人のライダーを中心とした人間たちがどういう人生を歩んでいくのかという所に番組の重みが移っていく。そうしたところが生き物としての番組の面白さではないかと思います。
 

(C)石森プロ・東映 


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