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Vol.2 オープニング企画第二弾 「森田芳光作品と東映東京撮影所」

一番大切なのは“ホスピタリティ=もてなし”

撮影所に望むこと

生田 映画の製作現場も、時代の流れによって少しずつ変わってきている感じがします。 大声で怒鳴ったりする荒々しい現場なんかは減ってきていますね。

森田 森田組の雰囲気はよく一緒と言われます。初めてのスタッフが入っても直ぐに馴染んじゃって。

生田 そうですね、森田組はいつも暖かいですね。もう一つは、今はテレビ出身の監督さんがいっぱいいらっしゃって、要するに本番なのかテストなのか分からない場合がある。セットの中で周りのスタッフや役者の方が分からずに撮影が終わってしまう。「本番」といった掛け声ではじまるような映画らしい現場の“におい”がもう少しあってもいいかなと思ったりします。森田さんは、本番の声がけはもちろん、本番前に俳優さんの所に行って、演技の話などをされてますよね。中には助監督さんが行って役者さんに話す場合もあって、俳優さんの中には物足りないと思う方も居るかもしれませんね。変わっていく中でも守りたいものはあります。
森田ハード面では進歩的であってほしい。ソフト面では「人間のホスピタリティ=もてなし」ですね。これがあれば大分違います。撮影所に入って人に会うことで、「デジタル」の機器に向って仕事をしようという気になるわけですから。駐車場、掃除の方々まで雰囲気づくりができていれば、デジタルに向おうって気になります。ハードとソフトの両方必要なんです。例えば、デジタルで仕事をした後、昼時食堂に行っておばちゃんから声が掛けられる。それだけでもほっとするものです。「安くてうまい、おばちゃんと話す」たったそれだけでも東映に来たって思うんですよ。おそらく生田さんがいろいろと指導されているからなのでしょう。リピーターも多いと聞いています。

生田それはさっきの消極的営業というか、来て下さったお客さまを大事にして、また来て頂こうということなんでしょうね。フリーのプロデューサーの方にまた使って頂けるということがよくあります。

森田 こうしたことは伝わりますから。「間宮」に出ていた東映の所長みたいに(笑)。

生田 まずいなあ。恥ずかしいですよ、みなさんに載せられて。

森田 あれは立派な営業ですよ。

生田 でもさすがに「椿三十郎」には出れませんでしたね。

森田 出てくれれば良かったんですよ。皆喜びましたよ。(笑)すごいセットを組んでいただきました。そしてセット中には一人一人の刀を置く場所まで用意していただいて、まさにホスピタリティそのものでした。生田さんは厳しくて、徹底していると良く聞きます。だから皆ちゃんとしているって。今度「新しいスタジオ」が出来たらぜひやりたいものです。

生田 今年の11月に完成します。ぜひ大泉を、東撮をお忘れなく!「デジタルセンター」は来年5月頃オープン。デジタルの最先端の技術を導入した試写室なんかが出来ます。

森田 試写室は大事ですよ。僕らもあそこの試写室、いい設備だからあそこでやろうとか、一つの広告塔ですよ。試写室とロビーは欠かせません。ロビーでは反省会がありますから。

生田 監督は本当にいろんな事を考えなくてはいけない、大変な仕事だなあと思っています。全部結論を出さなくてはならない。スタッフが持ってくる全ての事に。

森田 でも明日終われば皆またばらばらになってしまう。それが一番辛いですね。明日になれば他の人を監督って呼ぶわけですから。終わらない作品やればいいんですね。シリーズものみたいに。(笑)

生田 ぜひ東映製作・配給作品でお願いします。(笑)

※その後もお二人の熱い話は尽きることはなく続けられました・・・


<お知らせ>
弊社取締役東京撮影所長・生田 篤(いくた あつし)は、かねてより病気療養中のところ、
平成21年11月4日に永眠いたしました。享年65歳。
ここに、生前のご厚誼を深く感謝いたしますとともに、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。


関係者一同

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