東映はいつからインターネットでの映像配信事業を始めたのでしょうか
2000年代に入り、ブロードバンドが普及するにつれ、インターネット上で映像や音楽といったコンテンツがやりとりされるようになってきました。将来的にこのマーケットが大きくなることを見越して東映でもコンテンツ配信事業への取り組みを開始し、2002年の夏に特撮専門の動画配信サービス「東映特撮BB」を、2004年2月に『仁義なき戦い』『トラック野郎』などの劇映画を配信する動画配信サービス「Movie Circus」を開始しました。
【Movie Circus】
当初は自社サイトでの配信を中心としながら、他社が運営するPCやケータイ向けの動画配信サービスにも積極的に「支店」を出して、東映の映像コンテンツを配信していました。事業形態としては「東映特撮BB」がS-VOD(見放題)サービスとして展開していますが、基本的にはお客様が観るときに1作品ずつ課金するPPVのサービスをメインに展開しています。
これらの動画配信サービスで配信している映像コンテンツは、弊社が製作・配給に関わった劇映画やテレビシリーズが中心ですが、配信向けのオリジナルコンテンツの製作・配信も行っています。2008年の夏には『劇場版 仮面ライダーキバ 魔界城の王』『炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!劇場BANG!!』のスピンオフ作品として『ネット版 仮面ライダー裏キバ 魔界城の女王』『炎神戦隊ゴーオンジャー BONBON!BONBON!ネットでBONG!!』という2つのネットムービーを製作しました。この取り組みは好評で、現在では毎年春と夏にネットムービーの新作を製作・配信しています。
【ネット版 仮面ライダーフォーゼ みんなで授業キターッ!】
月~土まで全28コマのカリキュラム。ライダー部にあのライダーや、スーツアクターもキターーッ!すべて受講しないとネビュッちゃうぞー!
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[キャスト] |
[スタッフ]
原作:石ノ森章太郎 脚本:三条陸 / 長谷川圭一 / 田嶋秀樹 監督:山口恭平
[URL]
http://www.fourze-gobus.jp/netmovie/index.html
現在、Youtubeやニコニコ動画などの動画配信プラットフォーム上でサービスが展開されています。 以前ではこうした動画投稿サイトは違法動画の温床として、事業者とは相容れない関係だったと思います。どのような関係改善の取り組みを図っていったのでしょうか。
2006年にYouTubeがGoogleのグループ会社となり、2007年にはGoogleがYouTube上のコンテンツに関する著作権管理システム「Content ID」を開発しました。これを使えば権利者が登録した動画について、映像や音楽が一致するものを自動でピックアップし、ブロックする(動画を視聴できなくさせる)ことができます。システム的に違法動画への対策がきちんとされるようになってきたのは、大きな転換点だったと思います。そのころから日本でも公式パートナーとしてYouTubeと提携し、公式チャンネルを持つ企業が増えてきました。
また、YouTubeは世界の動画配信サービスの中でも非常に利用者数の多いサービスです。そのユーザーに向けても弊社の映像コンテンツをアピールしたいという考えもあり、2010年の春ごろから本格的に準備を始めました。
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【目次】
- これからはWEBで楽しみを共有する時代に(1/3)
- 東映はいつからインターネットでの映像配信事業を始めたのでしょうか(2/3)
- YouTube、ニコニコ動画との取り組みによって、事業が変化してきた点は何でしょうか?(3/3)