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マイスターvol.20 映像マイスター:映画『はやぶさ 遥かなる帰還』完成記念インタビュー 「阪本善尚(撮影監督) & 野口光一(VFXスーパーバイザー)」

200台のコンピューター、119回のリテイク

-はやぶさのCGも大変リアルになってます。担当のご苦労があったのでは?


©2012「はやぶさ 遥かなる帰還」製作委員会

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野口
CGのレンダリング【*5】の所要時間って、普通は30分くらいなんですよ。そうじゃないと制作スケジュール的に間に合わないんですが、今回は平均で1時間半なんですよ、一枚が(笑)太陽光パネルを開くところなどは、相当データが大きくなっちゃって、気が付いたら6時間かかっているっていわれて(笑)まあ、終わったからいいやって(笑)

CGに関しても、監督はこだわられましたよね。普通ですと、ラフな段階でのCGカットで編集をして、最後に仕上げに入るんですけれど、やっぱりライティングされたちゃんとした画じゃないと、繋がりが大丈夫なのかわかんないって言われて(笑)それで9月14日までに全部レンダリングしようと現場に指令を出したり(笑)

最終的には途中で買い足したりして、200台のコンピュータでレンダリングをやってました。

はやぶさが燃えながら、大気圏に突入するところが見せ場なんですが、あそこが一番大変だったんですね。今回あの場面は、カナダの会社に外注したんです。技術的には『第九地区』などを担当していて信頼できたんですが、ハリウッドって、コンテで指示したことはやってくれるけど、出来たものを見てちょっと修正したい時は別料金で、ってなるんですね。そこで、なるべく監督に先に細かく確認して、5回ぐらいスカイプで現地ともやりとりをしまして。それで最初、3カットにわけていたものを、途中から監督がワンカットにして20秒に変更したいって指示を出されて慌てましたね。え!今更!(笑)ノーと言えないから(笑)

阪本
監督は全体のドラマの流れとして編集しているから、カットを分けられない、と思ったんだよね。

野口
それで交渉を重ねて、なんとか20秒ワンカットにして仕上げを進めていたんです。先にアニメーションを作って、それから仕上げに入るんですね。そうしたら監督が、今度はアニメーションを変えたい(笑)って言われて。えー(笑)完全にアニメーションに戻って修正を入れることは予算上無理なので、2Dの効果でなんとかなるから、って指示をだしたりして、結局119回リテイクでした(笑)気が付いたら119って数字が書いてあって、そんなにリテイクしたかよって後で驚きました(笑)そんなかんじで、今回、やりとりの回数は、過去最高じゃないですかね(笑)

阪本
それは監督の演出家としての執念じゃないですかね。普通の監督なら僕らに任せてしまって、初号かなにかで見るくらいですよ。瀧本監督は実写の時のポジションと同じくらい、VFXの工程でも中心のポジションに立ってましたからね。自分が思う「はやぶさ」というキャラクターに演技をさせたいし、出来上がった画とイメージが合わないとNOと言う。そういう監督のスタンスがあったから、僕らもディスカッションを重ねていけたんだと思いますね。

塩田
デジタルセンターが東京撮影所の敷地内にできて、東映アニメーションさんと非常に近くになったので、すぐに打合せができたのもは良かったですね。

野口
歩いて来れますしね(笑)

阪本
昔のように、調布だったら大変ですよね。大泉にデジタルセンターもあって、東映アニメーションもあってと、一箇所に集まっているのはそこにメリットがありますね。僕は自分の家が近いから、東映ラボ・テックのグレーディングが調布から離れるのはいやだ、って反対したんだけど(笑)




【*5】レンダリング コンピュータ上で処置された様々な画像データ・パラメータを、映像データに変換する工程。



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