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マイスターvol.18 映画マイスター:映画『探偵はBARにいる』完成記念 「橋本 一 監督 インタビュー」

撮影現場について

Q.橋本組の真骨頂であるアクションシーン、どのような思いで撮りましたか?

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アクション自体も、今の映画界でよく登場する目まぐるしいアクションではなくて、少々懐かしい感じの肉弾戦的な動きが出来ないかという狙いでやってみました。

意外なことに、大泉さんも松田さんも、現代劇のアクションはこの現場が初体験。クランクイン前に2度ほど練習してもらったのですが、その時は2人とも「このままで大丈夫なのか」と不安に思ったそうです。その上、諸般の都合でアクションシーン先行の撮影スケジュールとなってしまい、2人への負担は、肉体的にも精神的にも相当大きかったと思います。

でもアクション監督の諸鍛冶裕太さんが「役者の力をなめちゃいけない」と言ってくれたので、その言葉を盾に極力俳優本人がアクションをやっています。諸鍛冶さんのその言葉は、彼自身がアクション俳優出身だけに、非常に説得力がありました。そんな訳で「吹き替えはつまらない」というのが、現場でのもうひとつのキーワードとなりました。

大泉さんは「こんなことまでやらされるのかって。がっかりすることの連続だった」とぼやいていました(笑)松田さんも「ここまで本人でアクションをやらされることは珍しい」と言いながら、見事な回し蹴りを見せてくれています。あのベテランの西田敏行さんだって、ご本人自ら激しいヤラれっぷりを見せてくれます。

本物志向ということでは、CGも可能な限り使っていません。合成や後処理に頼らず、撮影現場の空気を切り取った画を作る。それは本作のみに限ったことではなく、これまでの作品でも貫いてきたことですが・・・。

アクションシーンは、事故や怪我さえなければ、撮影していてとても楽しいのですが、大変だったのは、北海道は日の出が遅く、日の入りが早いので日照時間が短いこと。時間が足りない状況の中、あれだけの凄いアクションをこなしてくれた俳優陣には本当に感謝しています。

 

Q.北海道ロケの話が出ましたが、どうでしたか?

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まず大泉さんは日本全国的に「スター」ですが、北海道では「大スター」なんですね。歩いていれば見知らぬ人に「よう、洋ちゃん!」と声をかけられるのですから。生き生きしてましたね。

日照時間の短さに加えて大変だったのは、雪が少なかったこと。直前のロケハンでは最高の状態だったのに考えが甘かった。特に街宣車とモービルがカーチェイスを繰り広げるシーンの撮影は思惑が大きく外れました。

ロケハンでは、降り積もった雪のために車1台通るかどうかの狭い道を、ガリガリ車体を擦りながら進んでいく緊迫感を狙っていました。ところが、実際の撮影の時は雪がない為道幅が広くなっていて、全くイメージが変わってしまった。ロケハンで我々の想像が膨らんでいましたから、あの撮影では寒さも日照時間の短さもこの際どうでもいい、とにかく雪をくれという心境でした。

 

Q.撮影中に起こった東日本大震災の影響はありましたか?

震災が起こった時は、丁度北海道で地下駐車場のシーンの撮影中でした。翌日東京へ戻る予定が、飛行機が空港に着陸出来るかどうかも分からない。そこを何とか無理矢理帰って来たら、翌々日から再開するはずだった撮影自体もストップせざるを得なくなっていました。

予定した関東でのロケ地が、震災の影響で状況が変わってしまったのです。この時、美術の福澤勝広さんが「こんな時こそ日常に戻るべきだ。やめるのは簡単だけれど、僕らの日常とは映画を作ることだ。」と言ってくれた言葉には皆が支えられました。何とかして作品を完成させなくてはという思いをより強くしてくれました。

 

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