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マイスターvol.17 ここから映画は生まれる:第三回 京都フィルムメーカーズラボ

時代劇映画の聖地・太秦の撮影所で行われる育成ラボ 3

今回で3回目を迎える、この育成プロジェクトの企画に携わってきた、京都文化博物館・森脇清隆さんにお話を伺った。

「この取り組みは、ベルリン映画祭で行われている映画作家のワークショップ『タレントキャンパス』をヒントに、東映・松竹の協力を得て始められました。

初回は“とにかく作品をベルリン映画祭に出すこと”を目的に、国内の映画作家を中心に2本を作成し、出品しました。2年目は国際的な映画人の育成を目的に、英語での製作に取り組んでいます。3回目となる今回は、同時期に東映撮影所で行われる『京都映画・映像企画市』や『世界の歴史映画祭・HISTORICA2010』との連係を目指し、具体的には昨年のラボ参加者による企画発表や、映画祭参加ゲストとラボ参加者との交流を行いました。

ここ京都の撮影所は、映画が生まれる場所です。ここで映画祭を行うことで、ゲストとして来場する海外の作り手と、撮影所の若手スタッフや監督が交流し、お互いに刺激しあう。他ではできない、新しい時代劇の可能性が追及きる場所を提供し続けたいと願っています。もちろん最終的には、ラボで培われたネットワークが生み出した新しい時代劇映画を、映画祭でお見せできればと思っています。

東映、松竹の首脳陣がこの取組みにビジョンを見出し、理解してくれていることに感謝しています。」


東映チーム 撮影初日

京都撮影所には、木製のドリー(移動撮影用のレール)がある。

いったい何本の映画に使われたのか、頑丈で軽量、持ち運びに便利なこのレールは、オープンセットを有効に使う京都撮影所ならではのもの。

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東映チームの初日最初の仕事は、その木製のドリーレールをセットすること。木のレールは調整が難しい。照明技師の鹿野、録音の近藤らの手ほどきを受けながらメンバーがセッティングするが、キャメラを載せる移動台がスムーズに動かず一苦労。

ドリーのセットが終わっても、今度はキャメラ位置がなかなか決まらない。監督のタマキがモニターを覗き、キャメラのアングルを決めるが、イエックは彼なりのアングルに変更する。

「タマキがコミュニケーションを取ってくれない。黙っているので意見がないのかと思うと、キャメラ位置を自分で動かしてしまう。自分にもキャメラマンとして撮影のプランがあるので、戻すのにまた時間がかかってしまう(イエック)」

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英語が不得手なタマキにとって、コミュニケーションは想像以上に困難なようだ。いつのまにかタマキは周りの日本語が出来るメンバーと、イエックは英語のできるメンバーとだけ話をしているようだ。

今日はオープンセットの屋外での殺陣の撮影が中心。いきなりクライマックスの2対1の決闘だ。主人公のサムライが、左右から襲い掛かる刺客を次々となぎ倒し、最後には不条理な世界から脱けだせない状況に苦悶する。

東映チームの演出方針は、とにかくたくさんのアングルでアクションを撮影し、細かく編集で繋ごうというもの。長いアクションを、キャメラはアングルを変えながら何度も何度も捉える。パンのスピード、フレームなどを細かく指示出しするタマキ。それに納得できず、自分のやり方を主張するイエック。

日は出ているとはいえ、12月の底冷えのする京都。冷たい地面に何度も倒れ、膝をつく役者陣。カットがかかるたび、痛みに膝をさする場面も。同じ芝居を何度も繰り返す役者には、大変酷な撮影だ。

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安藤は言う。「彼らのやってることは、僕らから見たら非常識やね。そやけど、その撮り方でなければできん映像いうのがあるはず。きっと僕らの見たことのない新しいもんが見られるんちゃうかな」

明日は雨の予報。日が落ちてしまう前に、屋外のシーンを撮りきってしまわなければならない。メンバーに焦りの色が浮かぶ。

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