トップメッセージ

愛される「ものがたり」を全世界に
代表取締役社長

平素より、東映株式会社ならびに東映グループへの格別のご理解とご支援を賜り、心より御礼申し上げます。

当社は1951年に誕生しそれから70年以上の間、幅広いファンの皆様に支えていただきながら、どのように世の中が変わっても新たなメディアが登場しても、常に柔軟に対応しつつ一貫して映像製作=「ものがたり」作りを続けてまいりました。
私たちはなぜ「ものがたり」を作り続けるのでしょうか?
それはいつの時代も人が衣食住と等しく、喜びや希望といった心の糧となる「ものがたり」を必要とし、私たちは人々へ「ものがたり」を提供したいと願うからです。

これまでに当社グループが生み出した映像作品は、劇場用映画4,400作品以上、テレビ映画39,000話以上、配信映画600話以上にのぼります。
私たちはこれらの多様で魅力的な作品を自ら企画製作し、さらに生み出した作品をIPホルダーとして、劇場からテレビ、配信、DVD/Blu-ray、商品化、ゲーム、イベント、舞台等においてマルチユース(多用途活用)展開させ、多くの皆様に楽しんでいただいてまいりました。

映像製作においては、実写は東京撮影所と京都撮影所、アニメは東映アニメーション(株)における製作、また東映デジタルセンターおよび東映ラボ・テック(株)でのポストプロダクション、そしてツークン研究所での最先端映像技術の開発など充実した体制を有し、販売チャネルでは(株)ティ・ジョイでの映画興行に加え、自社メディアによる配信も手掛けております。
さらに映像作品から生まれるキャラクター版権ビジネスやイベント、また文化催事までをマルチチャネルにて展開し、ファンの皆様にご提供してまいりました。このように自らによる映像企画製作とマルチユース(多用途活用)展開を積み重ね、映像作品をファンの皆様へご提供し続けていく当社グループのビジネスモデルは、他にはない私たちだけの強みと認識しております。

-愛される「ものがたり」を全世界に-
この強みを活かした企業活動によって、人々の心の糧となる「ものがたり」を全世界へお届けし、世界を喜びと希望で豊かにすることが私たちの使命と考えております。

To the World, To the Future -「ものがたり」で世界と未来を彩る会社へ-

2023年2月、当社グループは今後10年のビジョンを示す「東映グループ中長期ビジョン-TOEI NEW WAVE 2033-」を発表いたしました。
スローガンはTo the World, To the Future -「ものがたり」で世界と未来を彩る会社へ-です。
子供の頃に夢中になった「ものがたり」は年を重ねても人の心を捉えて離しません。
そして私たちはわくわくする「ものがたり」は日本国内にとどまらず、世界中に届くと信じています。

成長戦略を実写、アニメ映像事業の強化・拡大そしてグローバル展開とし、10年後の2033年には世界中で愛されるコンテンツを数多く創造発信する企業であることを目指します。
そのために、以下の4点を重点施策といたしました。

映像事業収益の最大化

企画製作力の強化として毎年、東京撮影所・京都撮影所にて国内興収30億円を目標とした大型作品各1本計2本の製作、また若手育成を目的としたチャレンジ作品への取り組みを進め、海外映画祭へも積極的にアプローチします。そのために効率的な組織づくりや国内外のパートナーとの連携、また最先端技術としてはツークン研究所でのデジタルヒューマンや東京撮影所によるバーチャルスタジオの実用化に向け力を入れ、新しい映像製作手法を構築します。またメタバースや、海外配信などの新規チャネルの開拓も積極的に進め国内外でのマルチユース(多用途活用)展開を促進させます。そしてIPのライフサイクルの長期化に取り組み数多くの作品を複層的に運用することで映像事業収益を最大限に高めたいと考えます。

コンテンツのグローバル展開へのチャレンジ

これまでにも当社グループの作品は海外へ輸出され多くの方に愛されてきました。アニメだと「ワンピース」や「ドラゴンボール」、実写は「パワーレンジャー」などが代表的です。アニメの世界的な評価は高いですが、それでも世界において日本の映像産業が占める割合はまだわずかです。まだまだ、日本のアニメや実写、特撮には世界での成長の可能性は十分にあると考えています。世界のプロダクションやクリエイターと協業し、世界中へ“愛される「ものがたり」”をお届けすることを今後強化し、2033年には海外の販売比率を売上の50%にすることを目指します。

映像事業強化のための人的資本の拡大

国内外へ“愛される「ものがたり」”をお届けし続ける、企画製作力とマルチユース(多用途活用)展開力を握るカギは、人材です。一人一人の能力を強化しそれぞれの多様性を活かすことで、働きやすく働きがいのある会社とし、当社グループのさらなる成長を目指します。特に、職場環境の整備のために、製作現場を中心とする労働環境改善、ハラスメントの撲滅、ダイバーシティ&インクルージョン(職場における多様性とその活用)といった事項に真摯に取り組んでまいります。

持続的なチャレンジと成長を支える経営基盤強化

製作基盤を支えるため、製作設備への投資は必須です。また映像事業は当たり外れが大きく変動性(ボラティリティ)の高い事業であることを見越して安定収入が見込める不動産への投資も重要と考えます。またコーポレート・ガバナンスを強化すべく、2022年6月に監査等委員会設置会社への移行ならびに取締役等に対する業績連動型株式報酬制度の導入を行いました。2023年1月には任意の指名・報酬委員会の設置を行い、引き続きガバナンス強化に取り組んでおります。さらに持続可能な社会の実現が、当社グループの中長期的な企業価値向上に不可欠と考え、重要課題(マテリアリティ)を特定し、取り組む所存です。資本財務戦略としては、成長投資として今後10年間で合計3,000億円(コンテンツ投資2,400億円/事業基盤強化に向けた投資600億円)を予定しております。

東映の配給マーク「荒磯と波」では、荒波が岩肌にあたっては砕け散る様子が描かれています。私たちは70年以上、その波のように世の中がどのような状況でも困難を乗り越え、ファンの皆様に「ものがたり」を届け続けてまいりました。そして今、再び時代が変わり私たちも変化する時が来たと感じております。“愛される「ものがたり」”を世界中のファンの皆様へお届けできるよう、10年後を目標に努力を重ねて参ります。ファンの方々、株主様をはじめとする皆様におかれましては、何卒変わらぬご支援を賜りたくお願い申し上げます。

代表取締役プロフィール
吉村ヨシムラ 文雄フミオ

1965年2月3日生まれ
鹿児島出身

立命館大を卒業後、1988年に同社に入社し、コンテンツ事業部長、コンテンツ企画営業部長などを歴任。2020年6月にビデオ営業部門担当の取締役に就任。21年6月に常務取締役、22年7月に映像本部副本部長に就任。

23年4月1日、東映株式会社の代表取締役に就任。