第3話

テレビ

第3話

2013年1月24日放送

一発の銃声!
だが、その音は和太鼓の音にかき消され、誰にも気づかれない……

夜。京都嵐山、花灯路(はなとうろ)会場。
行灯(あんどん)などでライトアップされた中を行き交う人々。
客の中にマリコもいた。宇佐見、泰乃、早月先生と、花灯路を見に来たのだ。
そこでマリコは、行灯店の女店主・島谷智美と知り合う。
智美は毎年、花灯路に参加して、灯りの展示をしているという。
「灯し火、消えんとして光を増す……」
その儚げな灯りに心を奪われるマリコたち。

翌朝。会場近くで、銃で撃たれた若い男の死体が発見された。

被害者の銃創から出てきた微物、被害者の着衣の付着物は、「ろうそくの芯」「和紙の繊維」という鑑定結果。和紙とろうそくと言えば、「行灯」だ。

捜査の中、智美の経営する島谷行灯に訪れるマリコと土門。
そこで、智美の夫が3年前に死んでいるのを知る。
それは、犯人が未だに捕まっていない未解決事件だった。

ゲストキャスト

島谷智美 / 三浦理恵子
島谷栄子 / 左 時枝
磯貝信二 / 渋谷謙人

スタッフ

監督:石川一郎
脚本:小川眞住枝

みどころ

『科捜研の女』の魅力を大別すると3つ。その名の通り「科学捜査」と「女」、それと「京都」だと思っています。
「科学捜査」は何と言っても本作の表看板ですが、今回はそれ以外の「京都」と「女」にスポットをあてて、3話の見どころを紹介します。

京都、伝統と新しさが共存する町。『科捜研の女』では、この京都という町の魅力を、時にはさりげなく、時には存分に、紹介していきたいと思っています。前回の枯山水や今回の花灯路は、「存分に」の方ですね(笑)

「京都・花灯路」とは、京都を代表する寺院・神社・町並みを花や露地行灯などで演出した、「灯り」をテーマとするイベントです。ライトアップされた情景はとても幻想的で美しく、京都の新しい風物詩になっています。今回は12/8~17まで開催していた嵯峨・嵐山地域の花灯路で撮影させていただき、めったに見られない幻想的な情景の数々をドラマに組み込むことが出来ました。旅情を誘う画になっております。美しい京都、ご堪能ください。

そして京都に負けず、美しいのが女優陣であります。
第3話は、花灯路に遊びに来たマリコたち、という導入でスタートします。科捜研メンバーの捜査以外の日常が描かれるのは、意外と珍しいですが、こういうのも良いものです♪
しかし、この一団目立ちますね。沢口靖子さん、若村麻由美さん、奥田恵梨華さんって面子、改めて考えると、美女が揃い過ぎてすごいです(笑)渡月橋ですれ違ったら、多分びっくりします。一緒にいる男性も風間トオルさんだし、京都府警まわりのルックス充実ぶりは何なんだ!個人的には、斉藤暁さんが一人なんとなくバランスをとってくれて安心感を提供、という印象を持っています。
って、失礼か。斉藤さん、すみません!(汗)
さて、ゲストもお美しい女性。行灯職人の智美役に三浦理恵子さん。
夫を暴力事件で亡くして以来、左時枝さん演じる姑との関係も悪化し、犯人グループも未だに逮捕されていないという厳しい境遇にいる未亡人です。今回の殺人は、彼女の「復讐」なのか……
三浦さんは難しい役柄を可憐に演じて下さっています。

作中で女性らしさを表現しているのは、ルックスのみではありません。物語も、女性ならではの視点を意識して作っています。
1話も2話もそうでしたが、事件の真相には悲しい背景があります。マリコたちが科学捜査で辿りつく真実は、時としてとても残酷です。
でも、悲しみを抱いた関係者に対するマリコの眼差しは、優しい。
その優しい眼差しこそが、『科捜研の女』という作品の個性である「女」という部分だと思っています。この眼差しがあるから、本作は殺人というハードな題材を扱いながら、皆さんに安心して見ていただけているのではないでしょうか。そう、「マリコさんなら大丈夫」なのです!

ということで、「科学捜査」以外にも見どころ満点の『科捜研の女』。第3話はいつも以上に、「京都」そして「女性のドラマ」という魅力が前に出たエピソードでお送りします。お楽しみに!!


(文責・塚田英明)



【「科捜研の女」・制作日誌】
寒い日が続いていますが、京都では「科捜研の女」撮影快調、試験管をうならせてスタッフキャスト一同、微物を鑑定しまくっています。
この原稿を書いている本日1月14日は、第4・5話の撮影中。
絶対に見逃せない、ドラマチックな何かが起こります。
・・というオブラートに包みすぎた表現からもわかるように、うっかり言えない超展開です。

ところで第2話、枯山水殺人事件。いかがでしたか?
第2話の撮影は、舞鶴の海岸からスタートしました。
寒く寒く、そして美しい朝でした。
そう、この日は布施秋霜(長谷川初範さん)とその妻・美凪(渡辺梓さん)の目前で幼い娘の友卯子(西口莉乙加ちゃん)が海難事故に遭うという悲壮なシーンの撮影。
空は晴れ渡り、のびやかな海の青がぞっとするほど穏やかでした。
その穏やかな青に、いとも簡単に飲み込まれてしまった幼い命。
そして、実の父親である壁谷多聞(伊藤洋三郎さん)もその光景をまのあたりにする。
慟哭、絶望、救いようのない哀しみ―

・・と裏腹に、撮影現場はとてもなごやかでした。
長谷川初範さん、渡辺梓さん、伊藤洋三郎さんの3人は待ち時間に、
それぞれの役柄についてディスカッションを重ねていらっしゃいました。

――壁谷は布施のことを、「秋霜」っていうペンネームじゃなくて、おそらく幼少期から呼ばれていたようなごく親しげな名前で、呼んでいたんじゃないかな。
――美凪はきっと、壁谷とあやまちをおかしてから日が経たないうちに、夫と関係を持った。美凪はその晩、自分から、夫を誘ったんだとおもう。

そんな大人な会話が繰り広げられている一方、
この日もっとも過酷な撮影に挑んでいたのが友卯子役の西口莉乙加ちゃん。
海で遺体となって発見されるわけですから、寒風吹きすさぶ中、濡れた体でさぞかし寒い思いをしたと思います。
カットがかかるたび、スタッフやお母様が一丸となって莉乙加ちゃんの体を暖め、
心配そうに声をかけます。
でも、そんなとき、莉乙加ちゃんはいつも笑顔。
いちども泣き言をいいませんでした。
あっぱれな女優魂でした。

来週は第3話。
花灯路(はなとうろ)の夜に人が死ぬ――

お楽しみに!


(文責・中尾亜由子)



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