京都の伝統文化・西陣織をモチーフに、男女間で織りなされる機微を描いた、しっとりとした佳編になりました。冬美役の野村真美さんは常に全力で役柄を研究、没頭される方で、回想の芸妓時代の踊りの練習など、撮影前や合間にも一生懸命こなされていました。そのプロ根性には頭が下がります。夏子役の黒川芽以さんも、若くしてすでにベテランの風格をお持ちです。しかし、西陣織についてインターネットで懸命に調べる、という現代っ子ぶりも発揮し、この作品に全力でぶつかって下さいました。
このお2人の役者魂のぶつかり合いを渡瀬さんが鷹揚に受け止める格好で、重厚なお話に清涼感が加わりました。
「おみやさんの王道」と吉田監督も仰った今作、当然のごとく必見であります。

2008年11月20日放送
【脚本】 石原武龍
【監督】 吉田啓一郎
呉服店主人の杉田が、神社の石段で転落死した。その名を聞いて鳥居は思い出す。12年前、杉田の店の女性従業員・志村美智子が橋から落ちて死体で発見され、杉田が容疑者として浮かんだ。だが芸妓の証言から杉田のアリバイは証明され、事件は迷宮入りしたのだ。謎として残ったのは、美智子の死体に掛けられていた、月とうさぎの柄の着物だった。
鳥居は杉田の死体の手の甲に、細い櫛状の引っかき傷が残っているのが気になった。手織りで西陣織を作っている職人には、櫛状の爪を使って作業をしている者もいる。鳥居と洋子は、12年前の被害者の夫で西陣織の職人である志村誠三を、工場のある丹後まで訪ねる。志村の爪は、12年前も現在も櫛状になっていた。そして志村は今も、月とうさぎの柄を織っている。
そこへ、ある女性が志村のもとに現れた。それは12年前に杉田のアリバイを証明した元芸妓の、河原冬美だった。二人は12年前の事件後偶然に知り合ったという。どうみても訳有りの二人を、鳥居と洋子は訝しがる。この二人が親しかったとなると、12年前の事件の様相も変わってくる。さらに当時、杉田と美智子は不倫関係にあったという噂もあった。
鳥居と洋子は、志村と美智子の娘で、新進つづれ織り職人として市内で評判を上げている掛井夏子を訪ねる。夏子は杉田が協賛する個展を予定していたが、杉田は殺される前日にスポンサーを降りた、という騒ぎがあったのだ。そして夏子の爪もやはり、櫛状だった・・・!?
ゲストキャスト
河原冬美・・・野村真美
掛井夏子・・・黒川芽以
志村誠三・・・春田純一
みどころ

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