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科捜研の女 15

DATA
春スペシャル2016年4月17日(日)よる9時放送
放送は終了いたしました。ありがとうございました。

EPISODE GUIDE

第10話 悪の枝
2016年1月28日放送

■あらすじ

ストーカー男・後藤(演・鈴木裕樹)が刺されて殺された。
ストーカー被害女性・奈々子(演・大塚千弘)は保護シェルターから姿を消しており、後藤は彼女に返り討ちにあって殺されたと思われた。
だがマリコ(演・沢口靖子)は捜査の中で、後藤が元・保護観察官の瀬戸内(演・田村亮)と出会って以来、この2か月間まじめに園芸店で働いていたと知る。
盆栽と真摯に向き合っていたという後藤の姿は、最近でも奈々子の居場所を探っていたという凶悪なストーカー像と一致しない。
この二面性が気になったマリコは、後藤の心に科学で迫っていく―――――後藤を殺したのは本当に奈々子なのか?
やがてマリコは衝撃の事実を知る!!
 

(文責・東映プロデューサー 塚田英明)

■みどころ

みなさん、<盆栽>ってどんなイメージがありますか?
庭で着物姿の頑固そうな親父が腕をくみながらしげしげと眺めて鋏でパチン―。
私はそんなイメージしか持っていませんでした。古風で地味、という印象です。
ところが盆栽は奥が深くて、とても魅力的な世界なのです。盆栽には育てる人の心が現れるそうで、自然とふれあいながら自分の心と向き合うことができるのです。
そんな盆栽を科学するのが今回のエピソード。科学と盆栽は一見して全く縁のない世界のようですが、心理療法のひとつに箱庭療法という ものがあり、盆栽にはそれに通じる効果があります。マリコは被害者の育てていた盆栽からその心理を読み解こうとするのですが――
 
本作の舞台として登場する園芸店は、実際に盆栽を扱っている広樹苑様で撮影させていただきました。
なんと、約1200年前より伝わる盆栽も扱っている京都の名店です。
多種多様の美しい盆栽を撮影させていただき、盆栽の手入れのシーンではご指導もいただきました。
脚本家の岩下悠子さんが物語に巧みに織り込んだ盆栽に関する様々な知識も興味深く、事件の鍵を握る盆栽の世界を、目でも、頭でも、十分に味わえること間違いなしです。
 
事件はストーカーをしていた男が遺体で発見されたところから始まります。奇しくもマリコと亜美は事件の2ヶ月前に、彼が元交際相手の女性に暴力をふるっているところに遭遇していたのです。そのときの彼は鬱々として荒々しい形相でした。ところが事件後に彼の足取りをたどってゆくと、最近は園芸店で真面目に働いていたという別人のような人物像が浮かび上がってくるのです。いったいどちらが彼の素顔なのでしょうか―?この難しい役を演じたのは鈴木裕樹さん。その熱演は必見です。
 
そんな彼に救いの手をさしのべようとしたのが元保護観察官で今は盆栽を扱っている園芸店主です。元保護観察官だった彼は、かつて世話をした元受刑者たちから今でも慕われている人格者です。居酒屋で荒れていた被害者を放っておけず、自身の経営する園芸店で盆栽の世話をさせ、面倒をみていたのでした。ところがこの園芸店主の心にも、どこか闇があるようで・・・。優しい佇まいの中に一縷の深い影をたたえるこの人物を今回のメインゲスト・田村亮さんが好演しています。田村亮さんはさすが京都ご出身だけあって、自然な京都弁がキャラクターをより味わい深いものにしています。
 
その他にも、ストーカー被害に苦しむ女性を演じる大塚千弘さん、ストーカー被害に心をいためる警察官を演じる内野謙太さん、元保護観察官の夫を優しくささえる妻を演じる高間智子さんなど、実力派の俳優陣が多数出演しています。
それぞれの登場人物の思惑が交錯し、物語は二転三転。深まっていく事件の謎に、マリコが盆栽をヒントに挑んでいきます。
ぜひお楽しみに。

(文責・東映プロデューサー補 森田大児)

■こぼれ話

第9話「ニセ妊婦殺人事件」、いかがでしたか。
 
今回は脚本家に水曜21時「警視庁捜査一課9係」などを書かれている瀧川晃代さんをお迎えし、濃厚な「女たちのドラマ」をお送りしました。
「子供がほしくても授からなかった女」と「子供を育てられないのに孕んでしまった女」という、ふたりの女の話にしたい――これがこのエピソードの出発点でした。
そこに「赤ん坊の取引を仲介する女」(山村紅葉さん演じる存在感たっぷりな「マザー」)、「他人の男をほしがる女」(赤澤ムックさん演じるこれまた強烈な「ゆり子」)が参戦し、母性、嫉妬、羨望、優しさ、強さ・・・女の感情がこれでもかというくらい絡み合ったドラマが完成しました。
 
今回の大きなテーマは、妊娠、出産。
「ラストシーンを出産シーンにしよう」というコンセプトのもと、妊娠、出産のある意味での「生々しさ」「リアリティ」を追求していきました。
 
脚本作りの段階では、「妊婦とそうでない人との違いって?」
という観点から、瀧川さんを中心に皆でアイディアを出しあいました。
「氷を食べたくなる氷食症というのがあるらしい」
「ガニ股で歩くよね」
「臨月になると少し歩くだけでも大変」
ここから、妊婦を特定するヒントとなる「氷を食べる女」というエピソードと、ミステリーの鍵になる「歩き方実験」のシーンが生まれました。
 
今回物語でも重要な役割を担っていたのが、妊婦を「体感」するアイテム、「妊婦ジャケット」。中にはウレタン製の半球型のおもりが入っています。
撮影準備が始まる際の打合せでは、ひとりひとりがこの「おもり」を手に取って重さを実感。20人以上のスタッフが会議室に一堂に会し、「結構重いで」と言いながら次々隣の人に「おもり」を手渡していく光景はなんだかシュールでしたが、皆がほんの少し妊婦の「リアル」を感じた瞬間でした。
 
そして、クライマックスの出産シーン。
問題は「生まれたての赤ん坊」をどう表現するか。本物の新生児を撮影のためにお借りするのは、大変危険です。かといって、少し成長した赤ちゃんでは、やはり「生まれたて」のリアリティが出ない。赤ちゃんは1ヶ月経っただけでもすごく成長するので、新生児とは見た目からしてだいぶ違うのです。
そこで採用されたのが、なんとラジコン式の赤ちゃん人形。あの感動の出産シーンに出演していたのは、精巧に作られた人形だったのです。ラジコンで手や脚、口がそれぞれ動くようになっており、現場でオペレーターの方と、演出部のスタッフがリモコンで赤ちゃんを動かしました。表面の「濡れ」感、手足の動き、表情。どれをとってもリアルなできばえだったと思いますが、いかがでしたでしょうか。
 
編集室で効果音をあてていく作業では、子供を持つ男性スタッフたちの「出産立ち会い」体験がヒントに。出産体験も立ち会い体験もない私としては「生まれた瞬間にオギャアオギャアと声が聞こえる」というイメージを持っていましたが、「赤ちゃんは生まれてから産声をあげるまでにちょっと間があるんだよね」という複数の体験談をもとに、「赤ちゃんの声」を入れるタイミングを少し後ろにずらしました。
 
こうしてできあがった出産シーンですが、なにより「リアル」に胸にせまってきたののは、マリコの涙、だったかもしれません。涙を必死にこらえながら切々と語る姿は、圧倒的な臨場感をもって見る者の心をとらえました。
 
ひとりの命が失われることから幕を開け、あたらしい命の誕生と共に幕を閉じるこのエピソード。その産みの親として日々お腹をいためてきたひとりひとりのスタッフ、キャストにとって、かわいい我が子を世に送り出した気分です。

(文責・東映プロデューサー 中尾亜由子)

PAST EPISODE 過去のエピソード

「春スペシャル」
2016年4月17日(日)よる9時放送
監督:兼﨑涼介 脚本:真部千晶
最終話「絶対に捕まえる女」
2016年3月10日放送
監督:森本浩史 脚本:櫻井武晴
第14話「絶対に捕まらない男」
2016年3月3日放送
監督:森本浩史 脚本:櫻井武晴
第13話「耳撃者」
2016年2月25日放送
監督:匂坂力祥 脚本:吉本昌弘

INFORMATION 番組情報

CAST
榊 マリコ …… 沢口靖子

土門 薫 ……… 内藤剛志

風丘早月 ……… 若村麻由美

落合佐妃子 …… 池上季実子

宇佐見裕也 …… 風間トオル

藤倉甚一 ……… 金田明夫

日野和正 ……… 斉藤 暁

相馬 涼 ……… 長田成哉

木島修平 ……… 崎本大海

涌田亜美 ……… 山本ひかる

蒲原勇樹 ……… 石井一彰

ほか
STAFF
【監 督】田﨑竜太、森本浩史 ほか

【脚 本】戸田山雅司、櫻井武晴 ほか

【音 楽】川井憲次

【ゼネラルプロデューサー】井圡 隆(テレビ朝日)

【プロデューサー】関拓也(テレビ朝日)、藤本一彦(テレビ朝日)、塚田英明(東映)、中尾亜由子(東映)

【制 作】テレビ朝日、東映
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