科捜研の女14
- 新春スペシャル放送決定! 1月18日 日曜 よる9時 ~11時10分
放送は終了いたしました。ありがとうございました。
マンションの一室で日本髪を結った洋服姿の女性の死体が発見される。だが室内には着物も草履もない。
被害者はなぜ日本髪を結っていたのか。そして誰が彼女の髪を結ったのか――
マリコ(沢口靖子)と土門(内藤剛志)は被害者の日本髪に使われていた「紺紙」(こんし)という道具から、田宮柚子(宮本真希)とその姑(二宮さよ子)が営む美容室にたどりつく。
また、現場には27本の毛髪が残されていた。
毛髪からDNAは検出できなかったが、マリコたちは様々な鑑定方法でこれらの毛髪から犯人を絞り込んでいく。
みどころ
お待たせしました、「科捜研の女」京都叙情編。
今回のテーマは「日本髪」です。
舞妓さんが結っているこの「日本髪」、実に多くの道具が使われています。
美容師によって形のちがう「紺紙」(こんし。髪の内側に貼って補強するのに使います)や、多種多様の「つけ毛」。
こうした道具や手順を見ていくだけでも「日本髪」の世界は奥深い。「科捜研の女」恒例の「職人モノ」シリーズとしてもたっぷり楽しんでいただけると思います。
そして、元舞妓の美容師役、宮本真希さんの舞妓姿も見どころの一つです。
宮本真希さんといえば、映画「おもちゃ」(深作欣二監督・1999年)での舞妓・時子役が鮮烈でした。今作でも、そんな「おもちゃ」ファン、宮本真希ファンを裏切らない、美しい舞妓姿を披露してくれました。現場でもスタッフの間からため息が漏れたほど。ぜひご期待ください。
ちなみに我らがマリコ様も劇中で「田宮美容室」を訪れ、店主の田宮佐智(二宮さよ子)の言うがまま、お客さんとして鏡の前に座ることになります。「マリコ、美容院へ行く」お楽しみに。
そして今回の「科学」のテーマは、毛髪鑑定。
今回被害者が発見されたのは、被害者の自宅兼ビーズ教室。何人もの生徒たちが出入りするせいで、遺留毛髪は多く、発見された毛髪は27本。ですがこれらの毛髪は「自然脱落毛」といって、自然に抜け落ちた毛であったため、DNAが採取できませんでした。DNAというのは「毛根鞘細胞」についているのですが、自然脱落毛にはこの「毛根鞘細胞」がついていないのです。(犯人ともみ合った際に抜けるなど、いわゆる無理やり抜いた毛(「抜去毛」といいます)には「毛根鞘細胞」がついているのでDNAは採取できます)
「毛髪からDNAを採取」というのがこの手のドラマの定番ではありますが、「科捜研の女」ではあえて今回、ここを切り崩し、「DNAの採れない毛髪」をテーマに持ってきました。つまり、「DNA鑑定を封じられたとき、どうやって毛髪から犯人を絞っていけるのか?」というのがテーマです。マリコはさまざまな方法を思いつき、試していきます。27本あった毛髪は数々の鑑定によって次々に絞り込まれ、そして最後に1本残った毛髪が、犯人の手掛かりを教えてくれます。「毛髪」という、いわば「科学捜査の基礎」である要素を扱うからこその面白さを味わっていただけるのではないでしょうか。
美しい美容師の嫁・姑の確執あり、舞妓あり、悪女あり、そして最後には涙があって…是非ご覧ください。
(文責・中尾亜由子)
こぼれ話
第1話・第2話と前後編でお送りしてきた今回のお話、いかがでしたか?
護送車襲撃、ラジコンヘリの攻防、と手に汗を握る展開が続いた第1話でした。第2話はじっくりその謎解きを見せるのか、と思いきや途中で犯人グループ「第四の男」の死、そして法廷での刃傷沙汰など衝撃の展開の連続。最後まで走り続けた盛りだくさんな「前後編」となりました。
最後の法廷でのシーンはたくさんの有志のエキストラのみなさんにご協力いただき、その臨場感あふれる芝居をカメラ2台でとらえました。
「あなたに弟さんと同じことはさせない!」法廷でマリコが叫んだこのセリフ、実は沢口さん自身のアイディアによるもの。このシーン(神戸でのロケでした)の撮影が終わった後、「大きな山を越えました」とすがすがしい顔で語ってくださった沢口さん。「(第一話の今宮神社でのシーンで)冬水さんに助けてもらったから、今度は私が助ける番という気持ちをこめて」演じた、とのこと。鬼迫あふれるシーンになりました。
そして今回チャーミングな悪役として現場でも人気が高かったのが、中村育二さん演じる嵯峨根田(さがねだ)。拘置所の中ではひそかに受け取ったメモを味噌汁と一緒に飲みこんだり(しかも2度も)、光沢のあるシャツを着ていたり(衣装を決めるときにスタッフ一同こだわって試行錯誤をし、衣装部が探し回ってくれたシャツです)、数学パズルをやっていたりと、やりたい放題。嵯峨根田の影響で何人かのスタッフがこの数学パズルにハマり始めました。さすがカリスマです。嵯峨根田が取り上げられていたという設定の雑誌記事も凝っています。中でもひそかな評判だったのが、「夏だ!株だ!サガネダだ!」という見出し。スタッフ一同楽しんで、試行錯誤して、このカリスマ悪党の人物像を作り上げていったのです。
さて、現場では先日、「科捜研の女」番組創立15周年の記念イベントが行われました。科捜研のセットにレギュラー陣が集合。そこに、沢口靖子さん演じる榊マリコの似顔絵と飴細工の試験管15本(もちろん15周年にちなんで、です)をあしらった、「科捜研の女」オリジナルケーキが登場。この飴細工の試験管、とてもリアルなできばえで、キャスト陣からも歓声があがりました。(フォトギャラリーをご参照ください)
そろそろ肌寒くなり、現場では黒いベストを着ていた科捜研メンバーも、黄色いジャンパーに衣替え。ですが晴天にもめぐまれて撮影快調です。
来週は、これまでの前後編とはうってかわって、ちょっと怪談めいたムードで始まる「祇園日本髪殺人事件」。お楽しみに。
(文責・中尾亜由子)