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当時を知る沼田準一さんが大学生とディスカッション!映画『海難1890』特別試写会 レポート

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2015.12.04

12月3日(木)東映本社にて、映画『海難1890』の特別試写会が行われました。当日は、1985年「イラン・テヘラン在留邦人救出劇」で、実際にトルコの救援機に搭乗した沼田準一さんが登壇。「今だからこそ、若い世代に伝えたいことがある」と、本作を鑑賞後の現役大学生とディスカッションを行いました。

125年前に串本町樫野崎沖で遭難したトルコ軍艦の乗組員を現地の人々が救助、治療をし、彼らの命を救った「エルトゥールル号海難事故」と、その95年後に戦禍のテヘランで取り残された日本人たちをトルコ機が救出した「イラン・テヘラン在留邦人救出劇」という2つの史実を題材とした日本トルコ合作映画『海難1890』が、いよいよ12月5日(土)より全国公開となります。 

公開に先駆けて、12月3日(木)特別試写会が行われました。当日は、1985年当時、イラン・テヘランでトルコの救援機により実際に救出された沼田凖一さん(元・日産自動車社員、現・特定非営利活動法人 エルトゥールルが世界を救う 特別顧問)が登壇。これからの日本の未来を担う現役の大学生たちと本作を鑑賞後、ディスカッションを行いました。

沼田さんは、戦争下の緊迫した生々しい状況や救出された際の気持ち、さらには、帰国後トルコがなぜ自分たちを助けてくれたのかを知ったときの思い、またこの映画の感想や、この作品を通して多くの人に感じて欲しい思いなどを熱く語りました。

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沼田準一さん

学生:当時、戦禍のテヘランはどんな状況でしたか?

沼田さん:はじめ空爆が起こったときは何があったのかわかりませんでした。一緒にイランへ行った日本人は住んでいた家の近くに爆弾が落ちて、ベットから吹き飛ばされるといったことなどもありました。

学生:そんな中、トルコが助けてくれるという話はどのように知ったのですか?

沼田さん:3月18日に日本からの救援機が来ないという連絡があり、我々は空爆にさらされるしかないと思いました。なので、ホテルの地下室に避難していたんです。そうしましたら、19日の午前2時にトルコ航空が救援に来るという情報が日本大使館からあったんです。でも、それまで多くの航空会社からも断られていたので、トルコが助けてくれるということも半信半疑な感じでした。でも、来てくれるならと思い、チケットを買いに行き、空港に駆けつけました。

学生:実際に空港はどんな状況でしたか?

沼田さん:空港は普通なら30分あれば行けるのに、そのときは2時間以上もかかりました。空港はすごい人で溢れていて、トルコ航空のカウンターへなんとかして行くことだけを考えていて、周りの人のことを考えていられないような状況でした。「なぜトルコが?」ということもそのときは考えていなかったですね。ただ、本当に乗れるのかって思っていました。

学生:救援機に乗った後、機内で何か話されたりはしましたか?

沼田さん:実はそのときの記憶がほとんどないんです。というのも、飛び立っても撃墜される可能性があるんです。その緊張と不安いっぱいでした。ですから、機内は静かだったと思います。実際、その後すぐに空港は爆撃されているんです…。

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学生:この作品では、“真心”という言葉が出てきますが、沼田さんが思う“真心”って何ですか?

沼田さん:私が感じた“真心”は、対価を期待しないというか、相手から何かして貰えるかなということを意識しないで相手に対して行動できることかなと思います。というのは、救援機に乗ってきたトルコ航空の機長さんやCAさんは、皆さん無差別攻撃があることを知った上で来てくれたんです。トルコ航空もイラン上空で攻撃される可能性があると理解しているんですよ。CAさんなんて、皆さんと同じくらいの23歳ぐらいの方もいました。そういう若い方が、しかも外国の人を助けるために、来てくれたわけです。普通は、なかなかできないですよね。自分で手を挙げてきてくれた。もうこれは“真心”以外の何ものでもないです。エルトゥールル号の乗組員を助けた当時の日本人もそうだと思います。だから、そんな“真心”は日本人の中にもずっとあって、今もあると思うんです。

学生:私たちもこの映画を観て、涙したし、共感できました。また、日本人であることを誇りに思えました。“真心”を大切にしたいと思えました。沼田さんはこの映画をどんな人に一番観て欲しいですか?

沼田さん:大人の方は勿論なのですが、ぜひ皆さんのような学生や若い世代の方々、さらには子供たちに観て貰いたいですね。日本人の根底にある“真心”というものを、ぜひこの映画を通して心に刻んで欲しいと思います。私はこういった体験をしましたが、そのことを私が伝えられる範囲って本当に限られたところだけなんですよ。この映画を観た子供たちが大人になって、そういったことを周りの人たちに伝えていってくれれば、日本中に伝わるんじゃないかと思うんです。

 

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