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映画

クライマーズ・ハイ

公開終了

ベストセラー作家 横山秀夫[半落ち]の最高峰、待望の映画化!

原作:横山秀夫(文春文庫刊) 監督:原田眞人
脚本:加藤正人、成島出、原田眞人
出演:堤真一、堺雅人、尾野真千子、高嶋政宏、山﨑努

制作年
/ 2008年

イントロダクション

「・・・ジャンボが消えた?」
1985年8月12日、日航機墜落事故発生。
乗客乗員524名。
うち生存者4名、死亡者数520名――。
未曾有の悲劇を前に、全権デスクを命じられた悠木と、地元新聞社記者たちの壮絶なる1週間が幕を開ける!

「クライマーズ・ハイ」は、85年夏、地元群馬の地方紙の社会部記者として日航機墜落事故に遭遇、取材に携わった作家・横山秀夫(「半落ち」、「出口のない海」)が、自らの体験をもとに、2003年8月、渾身の力で世に放った衝撃作である。発刊時、各賞を席巻、圧倒的な支持を受け重版を重ね、今なお大ベストセラーに君臨している本作が、熱烈なファンの声に応え遂にスクリーンに登場する!

目の前で起きた史上最大・最悪の航空機事故を前に、使命感に自らを奮い立たせて取材に臨む地方新聞社の記者たちの人間模様が生々しく描かれた本作は、報道とは何かという命題を、今こそ色濃く我々に投げかける。そして「新聞社」という枠を超え、全ての働く者たち、或いは働いてきた者たちに問いかける――仕事とは? 組織とは? 家庭とは? 生きる意味とは?

これは、あの暑かった夏をひときわ熱く駆け抜けた新聞記者たちの、生死の間でもがいた濃密な日々(クライマーズ・ハイ)の記録である。

四方八方からのプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも全権デスクとして最後まで自分の信念を貫き通そうとする主人公・悠木和雅を演じるのは、沈着冷静な役から温かみのある役まで幅広い演技力で、映画はもちろん、テレビドラマに舞台にと活躍中の堤真一。そして悠木に憧れつつも反発する県警キャップの佐山達哉を堺雅人(『ハチミツとクローバー』、NHK「篤姫」)が、男社会の中で奮闘する新人女性記者・玉置千鶴子を尾野真千子(『殯(もがり) の森』)が演じ、記者魂をかけた熱いスクープ合戦を繰り広げる。また鬱屈とした悠木を谷川岳衝立岩登攀に誘い出す販売部の同僚で親友・安西耿一郎を髙嶋政宏が、車椅子に乗ったワンマン社長を山﨑努が印象深く演じ、新聞社の人間模様に厚みを持たせる。

本作のメガホンをとるのは、社会派エンタテインメントから娯楽超大作まで傑作を生み出し続ける監督、原田眞人(『突入せよ!「あさま山荘」事件』、『金融腐蝕列島 〔呪縛〕』)。本作では、自身も最高記録となる2541カットを重ね、登場人物たちの緊張や感情の機微をスリリングにそして情感たっぷりに、緩急をつけて立体的に描き出している。

あの夏、日本人は何を感じたのか?そして今、わたしたちの胸に何が去来するのか?歴史に深く刻まれた大事故の、臨場感あふれる取材現場を共有し、記者たちとともに<クライマーズ・ハイ>を体感せよ!

ストーリー

「クライマーズ・ハイってもんは、本当にあるの?」
「・・・・・・怖かったな」
「怖い? 異常に興奮して、恐怖心が麻痺しちゃうんだろ?」
「解けた時が怖いんです。貯め込んだ恐怖心が一気に噴き出して、一歩も動けなくなる。体中の筋肉が強張って、動くという意思決定を拒絶するんです」
「だったら・・・・・・おれも体験した」
「いつ?」
「ジャンボが墜ちた一週間さ・・・・・・」

1985年8月12日――。

終戦記念日を3日後に控え、日本国中が中曽根首相の靖国公式参拝の動向を固唾を飲んで見守るなか、群馬県の有力地方紙・北関東新聞の記者、悠木和雅(39/堤真一)はひとり、翌朝に迫った谷川岳・衝立岩登頂のための準備を進めていた。悠木は、抜いた抜かれたの同僚たちとの出世争いから一線を画したところに立つ、一匹狼の遊軍記者なのだった。

「悠ちゃんみたいなのが、結構やっちゃうんだよ。普段冷静沈着な奴に限ってね、脇目もふらず、もうガンガン登っちゃって、興奮状態は極限まで達しちゃって恐怖感とか麻痺しちゃうのよ」

今回は、販売局の同僚で無二の親友、安西耿一郎(43/髙嶋政宏)が、そうからかいながら悠木を誘い出したのだった。

その夜、新前橋駅で安西と落ち合うべくデスクを後にした悠木のそばへ、県警キャップ・佐山達哉(35/堺雅人)がすり寄って来て耳打ちをした。

「悠さん・・・・・・ジャンボが消えたそうです」
「・・・・・・ジャンボが消えた?」

意味がわからないという表情で悠木が編集部を出て行こうとしたその時、通信社のニュース速報が社内に響き渡った。

「東京発大阪行き日航123便が横田基地の北西数十キロの地点でレーダーから姿を消しました。長野・群馬の県境に墜落した模様。繰り返します」
「日航123便の乗員・乗客は524人。繰り返します。日航123便の乗員・乗客は524人」

単独の航空機事故としては世界最大。しかも現場は群馬と長野の県境。北関編集部はにわかに興奮の坩堝と化した。そして、この未曾有の事故の全権デスクを命じられたのは、本来遊軍であるはずの悠木――ワンマン社長、白河頼三(70/山﨑努)の鶴の一声による決定であった。

全権デスク、悠木の戦いの日々が幕を開けた。

頭と心を麻痺させなければ直視できないほどの事故の凄惨。疲労と高揚で弛緩と緊張を繰り返す神経。非常事態にあちこち軋む人間模様。声が、現在の、末来の声が、四方八方から悠木の脳裏に響きわたる。

“おれも現場へ行かせてください !すぐそこで世界最大の航空機事故が起きているんですよ!”
“十三年間、大久保連赤で飯を食って来た連中は祈ってるさ。長野であってくれって”
“北関を辞めようと思ったことないんですか?”
“広告収入がなけりゃ、幾ら天下国家を語ったところで新聞は一日たりとも出せねえんだよ!”
“何故落としたんです・・・・・・”
“あなたが好きなのは、新聞だけなんでしょ!”
“新聞だけが好きなんだ、だってそうじゃないか!”
“チェック、ダブルチェック・・・・・・”

そんな激務の最中、悠木は、ひとり衝立岩に挑んだと思っていた安西が、待ち合わせ場所の新前橋駅でクモ膜下出血に倒れて意識不明の重体であることを知らされる。

「お前さ、何で山に登るんだ」
「下りるために登るんさ」

最後に安西と交わした言葉が、悠木の胸に去来する。睡眠時間を削って見舞った病室には、全てを受け入れ弱々しく微笑む安西の妻(38/西田尚美)と、今は離れて暮らす自分の息子と同い年の安西の息子・燐太郎(11)の気丈な姿があった。
自分は何に登り、何から降りるのか? 何に挑み、何を拒めばよいのだろう?

一瞬にして奪い去られた520の命。記事にさえならないひとつの命。失われてゆく親友の命。そんな<命の重さ>を幾重にも受け止めながら、極限の精神状態のなか、全権デスク・悠木はあるスクープをめぐる二者択一の究極の判断を迫られることになる。
モラルとは? スクープとは? 真実とは? 新聞は命の重さを問えるのか?

――これは、あの1985年の、あの一番暑かった夏を駆け抜けた新聞記者たちの、熱狂と苦悩に満ちた濃密な日々(クライマーズ・ハイ)の全記録である。

キャスト・スタッフ

原作:横山秀夫(文春文庫刊) 監督:原田眞人
脚本:加藤正人、成島出、原田眞人
出演:堤真一、堺雅人、尾野真千子、高嶋政宏、山﨑努