東映ホーム > 東映マイスター > vol6鈴木常務「東映特撮番組」を語る 特撮マインドを持ち続けて

東映特撮番組を語る!

特撮マインドを持ち続けて

子供はアタラシモノ好き

「シンケンマル」(発売元:バンダイ)

スーパー戦隊のメインターゲットは未就学児童。具体的には3~6歳。彼等にとって生まれて初めて見るアクションドラマがスーパー戦隊ですし、おもちゃに一番興味を持つ年頃。「新しいものが好き」ということは、要するに見慣れたものには興味が無いということですね。子供の進化は物凄く早いのです。毎年乗り物、動物、ファンタジー、恐竜等の新しい題材を取り上げ、どう料理していくかが腕の見せ所。以前は5人のヒーローと1台の巨大ロボで年間通せましたが、今では5人+1人か2人と4台の巨大ロボットとなり、毎月何処かで新キャラが登場して来ています。今は出物が多く、キャラの交通整理がどんどん難しくなっていますが、以前は出版社の編集部から、今月はヒーロー側の新キャラが出ないのでページが作れない、と言われていたのとは隔世の感があります。
新キャラを次々と出すのは以前と変わって時勢が早く流れ、子供たちの興味が続くのも、三ヶ月が限界になって来ているからです。三ヶ月以内に新しいキャラを次々と登場させないと、飽きて来てしまい、中々続けて見てくれません。大人と違って付き合いで見ることはなく、大変移り気で、興味が少しでも薄れると他に逃げて行ってしまいます。子供たちの興味を探るのはますます難しくなってきていますね。

これからの特撮番組とは

侍戦隊シンケンジャー

昔も今も変わりませんが、時代を半歩リードするのが「特撮」の一番大切なこと。現実の世界と違ったインパクトある世界をどう作っていけるか、技術的にも時代の半歩先をやらないといけない。勿論後追いでは古過ぎるし、一歩先では付いていけない。“常に見たことのない”新しいものを子供たちに見てもらう、現実では見ることの出来ない映像を見るのが、特撮映像の世界の醍醐味ですから。CG、特撮、アクション、造型、各パートが競うように新しいことに挑戦しています。それには積極的に先行投資をやっていかないと、クオリティーの高い映像は作れないし、勝ち残っていけない。逆に言えば、大変だからこそ実写特撮番組を制作する会社が少なくなってしまったのでしょうけれど。  
例えばCGはコストが高く、時間がかかって毎週の放送には使えないと避けられていた時代に、それを可能にしようとCGチームは、2001年の“ガオレンジャー”第7話の諸田組からオプチカル(光学)合成を止め、全てCGに移行しました。当時このスキームを作り上げ、毎週の放送に間に合わせた仕上げスタッフの情熱には、驚くと共に、感謝しております。CGによって表現が可能になり、特撮の映像を飛躍的に向上させましたが、逆に言えば余りにもCGに頼りすぎるとリアリティーを感じなくなってしまう。最近、CGを多用するものが時々見られますが、少々心配です。スーパー戦隊シリーズでは、手間とお金が掛かりますが、ミニチュアを造り、特撮を行っています。特撮をやらずにCGのみで済ますなら、アニメーションでやればいいので、俳優たちの芝居を含む実写映像に馴染むミニチュア特撮を捨てるという選択を私はしたくない。そのためにも、特撮作品を休まずに創り続けていきたい。一度なくなって解散したら、二度と集まることは困難でしょう。“継続は力”です。技術はしっかりと継承していきたいと思う。特撮は一日に数カットしか撮影できないことが多く、時間とお金が掛かって大変ですが、出来上がりの“手作り感”“温もり感”が何といっても大切です。やはり特撮ステージで土煙を上げながらミニチュアを撮影した方が、CGでいくら煙を付けてもリアリティーを感じない。勿論将来本物の煙を超えるCGが見られれば又それはそれで考えたいですが。ミニチュアが動き、カメラも動き、実物を撮影していくのが実写特撮ものなので、そこにCGで味付けをしてゆく。“味付けの微妙なバランス”が、特撮作品には益々重要になってきているように思います。これからも、手作り感を忘れずに、特撮作品の素晴らしさを見ていただけるよう、スタッフ全員がんばっていきます。
 


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