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vol.4 平成仮面ライダー 10年を駆ける!

歴代平成仮面ライダーを語る

『仮面ライダー龍騎』について

仮面ライダー龍騎

司会) 次の『龍騎』は、そうした『アギト』の延長線上にあったのでしょうか?
白倉) そう思います。一つ『アギト』の反省点がベースにあって、3人のライダーをバラバラに描いていくといっても、どうしてもお客さんがいつ力を合わせて戦うのだろうという興味を前面に持ってしまう。それぞれがどう人生を歩むのかを考えるのではなくて、いつ3人が一緒に戦うのかばかりを考えてしまう。それは仕方がない部分ではありますが、わかりにくい内容になってしまった。 "三銃士"のように戦いゴールを迎えるという見え方を期待してしまうんですよね。
今までこういう形式の番組はなかったからしょうがない。それを乗り越えられなかったことが反省です。そういう見方をするお客様がいても構わないですが、それではこちらが本当にやりたかったことが伝わらないと思いました。『龍騎』では、とにかく絶対に力を合わせないことから先ず入ること。お客さんもそこに乗ってもらう。そこが根底にあります。そのためには3人とかではなくて、ある程度人数をどーんと増やす必要があると。
田﨑) 最初50人って言っていましたよね。
白倉) 毎回新しいライダーが出てくるみたいな。ライダーだけ出てくる。怪人は要らない。それは無理でしたけど(笑)
田﨑) 途中で13人に絞りましたけど。
白倉) 13に絞りましたではないだろって感じでしたね。(笑)監督と一緒に新宿のファミレス何かで決めたんですよね。
田﨑) そうですね。
司会) だからと思うのですが、それぞれのライダーが視覚的にも、戦い方なんかも異なっていたように思います。
田﨑) そうですね。ライダーの戦い方とかキャラクターって、今『仮面ライダーW』を立ち上げてて、今回一人でいいなって思いますけど(笑)、やっぱりライダーを名乗るのであれば、それぞれに変身ポーズや決め技は持っていたいなって思うんです。そういうのを持っていると、仮面ライダーとなり怪人ではなくなるんだと
白倉) 『龍騎』からがらりと明るくなったという話をお客さんからの声として聞きました。ビジュアル的に派手じゃないですか。
田﨑) 平成仮面ライダーのスタッフは『宇宙刑事』からの流れを引いていると思いますが、テクノロジーの模範としてはそれほど変わっていません。やはり『クウガ』で、ビデオに挑戦したわけですが、16mmのノウハウを捨て、ビデオでできることと出来ないことが決まってきて、それにプラスしてCGの進化がありました。

『仮面ライダー555』について

仮面ライダー555

司会) 次は『555(ファイズ)』になりますが、独特なカラーが出ていました。
田﨑) 『アギト』に似ているところが少しありますね。あと本来、仮面ライダーが持っている悲劇性みたいなものが、"木場勇治"という怪人の方に寄ってしまっている所なんかが面白いです。(『龍騎』では)13人ものライダーによる群像劇だったものが、オルフェノク側、ライダー側に分かれているように。
司会) 「悪と正義って何?それは捉え方でしかないんだ」ということを白倉さんから聞いたことがあります。
白倉) それは『龍騎』からの流れでありました。『龍騎』ではライダーたちのドラマを、『555』では怪人たちのドラマをやろうとしていました。ライダーだからイコール正義だというものを、『龍騎』で崩そうとしていたのを、『555』ではその脅かし版をやろうと。
田﨑) それは石ノ森章太郎作品の精神や作家性にもあるし、まあ親殺しや兄弟殺しであったりするので。僕なんかは仮面ライダーや『キカイダー』なんかも見ているから、あまり『555』を見ても驚かないというか。そういうものだと感じています。 ただ映画の試写の時、あのシーンでのお客さんの息を飲む感じを今でも確かに覚えています。「ええっ」みたいな(笑)。あの瞬間にお客さんが話の行方が分からなくなってしまうんですよ。大体こうなっていくんだというお客の予想ってあるじゃないですか。それがあの瞬間どっかに飛ばされてしまうんでしょうね。
司会) テレビではどんどん主人公側とラッキークローバーが仲良しになっているように思えました。みんな揃って遊園地なんかに行ったりしますよね(笑)
田﨑) それが脚本家の井上さんの特徴っていうか。敵味方というはっきりとした壁を作ったりしない。それらを混ぜてドラマにしていく所が、井上さんのダイナミックなところです。

『仮面ライダーカブト』について

仮面ライダーカブト

司会) 監督としては次には『カブト』。
田﨑) 僕はオープニングだけ撮ったんですが、久々の仮面ライダーということもあって、集中して出来た事を覚えています。毎年オープニングは気が重いんです。どうしようっていうのもあって。
司会) 『カブト』はどんな作品だったんですか。
白倉) 『カブト』は、"天道総司"という主人公がとにかく凄い。笑えるくらいに超人的みたいに。ここまで凄いと笑えるよねっというのが『カブト』ですよね。
田﨑) 能力的ではなく、中身としてすごい。
白倉) 何が凄いんだろうって話していると、先ず飯を作る人って凄いよねってことになった(笑)人間として凄いって事を突き詰めていくと、どこに至るかって考えると、先ず飯かなみたいな。作らせてもすごいが、食べさせてもすごい。脚本家の米村さんに誰を尊敬するって聞いたら、「辰巳芳子先生、料理家の」(笑)。漫画でも"海原雄山"とかそうじゃないですか。食を極めると、人間としての器もでかくなる。そういうのってリアリティがあるよね。単にグルメとかではなくて。食について考えることは、人間が生きるといくことについて考えるということになる。

司会) 監督はカブトまで他の作品を作られていましたね。
田﨑) 555からカブトまでの間、僕的には『セーラームーン』や『Sh15uya(シブヤフィフティーン)』をやりました。
白倉)『セーラームーン』では、純粋に女の子向けの番組ができないのかと思っていました。どうしても女の子向けといっても男目線、マニア受けするものだったりするじゃないですか。100%女児目線のものが出来ないのかと、ずーっと思っていたんです。うまくいったかどうかはわかりませんが。
司会) 監督もそれを意識した撮り方をされたんですか。
田﨑) (原作の)本を頂いて先ずびっくりしたのは、「背景が描いてねえ!」(笑)男子向け漫画とそこが違うんです。女子はその世界に入っていくと周りの世界が要らないんです。人間だけ描けばいい。あの当時「男の脳みそ、女の脳みそ」みたいな本が出ていて、男と女ってどれだけ違うのかなと思って、確かに違うところがあるんですね。物の見え方なんかがちがうのかなあと思ったりして。それは多分抽象化なんだなって。具体はいらない、抽象化させていく方向でいかなくてはならないんだと思って、テレビドラマでやるのは実は難しくって、アニメと違って背景なんかも画面に入ってくるので、そうすればいいんだろうって考えてやった覚えがあります。
司会) 具体的には。
田﨑) オープニングなんかではできるだけシンプルにしようと思っていました。劇画タッチの仮面ライダーに対して、石ノ森作品としては劇画タッチというわけではないんだけれど、武内先生の方は少女マンガとしてうまく成立させたいなあと。シンプルにしていくのは難しいなあと感じながら撮りました。

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