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Vol.2 オープニング企画第二弾 「森田芳光作品と東映東京撮影所」

森田芳光作品のテーマは“人間”

森田監督の魅力とは

生田 スタッフを馬鹿呼ばわりしたりする監督もいます。でも森田監督はそういう人とは対極にいる方なんだと思いました。そうしたことを弁えスタッフを統率されている。これはやはり森田監督の「人柄」だと思います。もう一つ、『失楽園』の時、うちのセットでの撮影の時、監督やメインスタッフの方々に鰻を差入れたことがあるんです。食べ終わった後、森田さんがスタッフ全員を連れて、お礼を言いに事務所まで来られた。すごい監督だなと思いました。とても嬉しかったです。
森田というか、ご馳走になったことがすごかったんですよ。(笑)思いもしませんでしたから。また今回の映画での函館ロケでも生田さんからいろいろ頂きました。皆で現地で写真を撮って、ありがとうの気持ちを込めてお返しをしました。

生田 またそれに対してご馳走様でしたということで、うちの事業部全員の写メを送ったりして(笑)。

森田こうして親しくさせて頂くと、スタッフ全員、所長に対して親近感を持つんです。普通末端のスタッフは所長のことを知らないものです。みんな生田さんを見ると「にこっ」としたり、(生田さんに)映画で出演してもらうと、喜んだりして。何かつながっているという感じがします。また「思い出」は大事なことで、僕のスタッフといっても映画が終わればみな他の監督に付くわけで、浮気されているのとある意味一緒ですよね(笑)。そうすると自分が亭主の間は、いい思い出を作ってやろうと思うわけですよ。それで他の家族の所に行った時は、やはり森田さん家は良かったよと感じてほしい。そういうことだけは心掛けています。結局家族がまた帰りたいなって思ってくれると、作品が暖かくなるんです。

生田僕もセットに行った時など、森田組は暖かいなって思います。僕がセットに足しげく通うと言われる組が森田組ですね。ただ辛いのは「出ろ(出演しろ)」って言われることですね・・・。(笑)

森田いや『間宮兄弟』なんかは笑いをとってらして、みんな喜んでましたよ。ただ映画を撮る時は緊張します。ただ緊張というのは弛緩との対比です。人間はずっと緊張はできませんから、リラックスした後、さあやろうという力を発揮する。そのために「笑いのある空間」を創ろうとはしています。

「お金」をモチーフに描いた最新作『わたし出すわ』

©2009 映画『わたし出すわ』製作委員会 /2009年秋、恵比寿ガーデンシネマ、新宿バルト9他全国ロードショー

森田お金の話のようでそうではない。実は「人の愛」みたいな話なんです。高校時代、友達のいない、人間嫌いの女の子(小雪さん)が、何気なく話しかけられた人々の言葉から勇気をもらいます。彼女は自分の家の環境が良くなくて、周囲からあいつとは付き合うなと言われている。でもそんな時何人かから優しい声を掛けられ、その事を覚えていて、彼女が大人になり上京してお金を儲けた後、その人達のためにそのお金を使っていく。お金っていうと、僕とはあまり縁がないですけれどね(笑)。

生田 でも台本を読むと、森田さんぽい作品ですね。
森田今の時代だからこそと思います。銀行が土地を担保にできる所ばかりにお金貸していたりするのが、僕は以前から嫌でした。例えば、中小企 業で技術や設備あって稼げるのに貸さないとかあるじゃないですか。日本にはそうした良い企業、良い社長がいっぱいいるのに。何年か前から、僕はこうした事が世の中の歪みを生んでるのではないかと思っています。僕は「人」で見ますから、役職や財産ではなくて、その人が自分と合えば好きになります。この人は技術や才能あると思い、例え担保がなくてもお金を貸していれば、もう少し今の日本は良くなっていたのではないかと。個人的な思いですが、それを伝えたくて作ったのが今回の映画です。僕が描きたいテーマは、やはり「人間」なんです。


◆ストーリー
「わたし出すわ」。突然帰郷した摩耶の申し出に、つい受け取ってしまった大金-
山吹摩耶は、突然、故郷に帰ってきた。どう稼いだのか、彼女は莫大な財を築いている。 高校卒業以来何も変わっていないこの街で、久々に高校時代の同級生たちと再会する摩耶。 そして、彼らの「夢」や「希望」の実現の為に、次々に 「わたし、出すわ」 と、大金をあげて しまうのだった!? 友人たちは、勘ぐりながらも、つい手を出してその大金を受け取って しまうのだが・・・。
果たして、そのお金の出所は?摩耶の意図とは? そして彼らの夢の結末は―?


◆キャスト
・小雪(山吹 摩耶(やまぶき まや)役)
・黒谷友香(魚住サキ役):摩耶の高校時代の友達であり、美しさを競いあったライバル。
・井坂俊哉(道上 保役)、山中崇(川上 孝役)、小澤征悦(保利 満役) :高校時代の友達
・小池栄子(平場さくら役) :摩耶の高校時代の友達。今は平凡な専業主婦
・仲村トオル (溝口 雅也役): 謎の男


◆スタッフ
・脚本・監督:森田芳光 『間宮兄弟』『椿三十郎』  本作は『ハル』以来13年ぶりの完全オリジナル作品
・製作総指揮:豊島雅郎、 プロデューサー:竹内伸治、三沢和子
・エグゼクティブ・スーパーバイザー:黒澤満
・製作 :「わたし出すわ」製作委員会
・製作プロダクション: セントラル・アーツ
・配給:アスミック・エース


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