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マイスターvol.18 映画マイスター:映画『探偵はBARにいる』完成記念 「橋本 一 監督 インタビュー」

こだわりの撮影について

Q.一方、セットのBARもこだわって撮影されていましたね。

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この作品の象徴となる場所だけに、必要に応じて壁をバラしてあの手この手で撮影したかったので、BARは絶対にSETで撮影しようとこだわりました。お陰様で、この作品の大事な見どころのひとつにとなりました。

このBARで交わされる探偵と相棒の会話を聞いていると、この2人は精神的なホモという関係性に思えるんです。独特の空気感と呼吸を見事に体現してくれて、あの2人がキャスティングされて本当に良かったと思います。

 

Q.エンドロールにSPECIAL THANKSとしてシナリオライターの故・砂本量さんがクレジットされていましたが・・・・。

砂本さんとは、監督デビュー後の1999年、須藤プロデューサーと共に『舞妓さんは名探偵』(テレビ朝日系列OA)というドラマでご一緒したのが最初でした。それがとても楽しい仕事となりまして。佐藤純彌監督の名作『新幹線大爆破』(1975年、主演:高倉健)のパロディで、東映太秦映画村を爆破しようというドラマを作りました。

その後、私と砂本さんが『科捜研の女』(テレビ朝日系OA)を一緒にやった時は、動くとセンサーが作動して爆発する爆弾が科捜研に持ち込まれるという設定にし、ドラマ中盤からエンディング迄、出演者は皆動かずにストップしたまま芝居を続けるという凄まじいシチュエーションを作りました。これは大変でしたが、面白い仕事でした。「いずれ、砂本さんと一緒に映画をやりましょう」と須藤プロデューサーと決意を固めた矢先、2005年に砂本さんは亡くなられました。

告別式の後、須藤プロデューサーと飲みながら「次に2人で一緒に仕事をする時は、砂本さんも一緒のつもりでやろう」と話したのが、本作でようやく実現したことになります。クランクイン前、須藤プロデューサーから、砂本さんの形見となるアルマーニのサングラスを預かりました。

実は撮影初日、そのサングラスをかけて現場に臨んだのですが、私は出目なのでサングラスが眼に当たり痛くて仕方がない。結局撮影終了まで、そのサングラスはずっと鞄の中にいれて持ち歩きました。砂本さんは特別な人ですから、その形見は撮影中僕の心の支えとなりました。

 


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